モンスターが暮らす“モンスター・シティ”。モンスターズ株式会社では、町のエネルギー源となる“子供の悲鳴”を集めるため、夜な夜なモンスターたちが人間界へ赴いていた。しかし、そんな彼らが最も恐れていたのは、なんと人間の子供だった…。ある日、小さな女の子“ブー”が迷い込み、モンスターの世界は大混乱。怖がらせ屋ナンバー1のサリーと、彼の相棒で大親友のマイクは、どうにかして彼女をこっそりと人間の世界へ戻そうとするのだが…。
『モンスターズ・インク3D』作品情報 | cinemacafe.net
本作は2001年に公開された作品の3Dリメイクですが、後付の3Dにありがちな取って付けたような3D作品ではなく、自然で画面になじんだ3D映像は観ていてストレスを感じることもなくとてもよかったです。そもそもわたしは元の作品を観たことなかったので*3、シンプルながらも観るものをグッと惹きつけるストーリーや演出のうまさに感心しっぱなしの2時間でした。
個人的にはこの作品を劇場で観られたこと自体もすごくうれしかったのですが、なによりもうれしかったのが長年ずっと気になっていたタイトルの「インク」の意味をやっと知ることができたことです。観るまではずっとインク工場の話だと思ってましたよ...。
子どもたちの悲鳴を集めてそれをエネルギーにする会社、それがモンスターズ・インクでしてつまりタイトルのインクとは会社を意味するInc.(INCORPORATED)のことです。そこではモンスターたちが子どもたちを驚かして泣かせているわけですが、おもしろいのは子どもたちを驚かせているモンスターたちは実は子どもたちのことを怖がっているという設定です。
そんな子どもたちに怯える彼らの住む世界に、ひとりの子どもが紛れ込んでしまったところから物語が始まります。
そもそも自分たちから相手の寝床に押しかけて脅かしているのに、その脅かしている相手の生態を詳しく知ることもせずただ怯えている様子はどこか滑稽に感じられます。
この作品を観ながら感じたのは、多くの日本人は公開された当時といまとではおそらくこの作品を観て感じることは大きく変わっているだろうなということです。わたしがこの作品を観ながら感じたのは、日々使うエネルギーを無理やりしぼりとってそれに依存するのではなく、極力関わるすべての人が幸せになれるエネルギーを見つけようという提言であり、つまりは原子力からの脱却の示唆でした。
この作品の公開当時は電気が原子力で作られようが火力で作られよう大多数の人にとっては興味の無いことだったと記憶していますが、いまではそのことにまったく無関心でいることはとてもむずかしいです。個人的に原子力すべてが悪いとはまったく思っていないのですが、いまのままでいいかというとそれもまたむずかしいだろうと。
結局、具体的にどうしたらいいの?という部分は観終えても何も答えが出ませんでしたが、この作品のようにパラダイムシフトが起こって多くの人が納得できるエネルギー源が見つかればいいなということはつよく思いましたし、この作品は「こんな時代が来るといいね!」というエールのようにも感じられました。
ちなみにいっしょに観たハホ*4とアオ*5に感想を聞いたら、こんなそっけない答えが返ってきました。
(長女の感想) 3Dは酔うから好きじゃないな...。
(次女の感想) お腹空き過ぎてよくおぼえてない。そういえばインクってなに?
お前ら...。
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