前夫との間に生まれた息子の結婚式に出席するため、現在の家族を連れて久々に実家へと戻ったリン。しかし、そこに待ち受けていたのは、ケンカ別れした前夫とその現妻や、ぞんざいな態度の母親、そして噂話が好きな親戚たちの嫌味だった。久々に一堂に会しながら、お互いが抱える悩みや問題を全く受け入れようとしない、わがままで身勝手な親戚たち。やがてそれはさまざまな不満やストレスとなり、結婚式当日に大騒動を巻き起こす引き金となるのだった…。
『アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち』作品情報 | cinemacafe.net
ヒューマントラストシネマ有楽町で観てきました。
タイトルに「ハッピーデイ」なんて入っているので、「すごいキュートな家族たちがキャッキャうふふとする作品なんだろうな」という漠然としたイメージだけをもって観に行ったのですが、まあびっくりするくらいハッピーじゃない話でして、もしかして劇場を間違えたのかと不安になるほどでした。
なんていうの言い過ぎというかまあウソなんですけどね...。でも思っていたよりもかなりヘビーな作品でして、観終えて疲れが残るようなそんな作品でした。
幼い頃は、親戚の集まりと言えば同じくらいの年ごろのいとこたちに会える楽しい場であると同時に、あまり好きじゃない嫌なおっさんおばちゃん連中に絡まれる嫌な場でした。いとこ達とわいわい遊んだり夜にひとつの部屋で寝るのは楽しい一方で、酒を飲んでへべれけになった怖そうなおっさんに絡まれたり、どこから仕入れたのかごくプライベートなことに関する質問が本当なのかと聞いてくるおばちゃんにすごく嫌な気分にさせられたことをよく覚えています。嫌がるのにお酒飲まされたりもしたなあ...。
もちろんすべての親戚がそうだったわけではありませんし、ほとんどは楽しく過ごせたのですが、大勢が集まるとかなりの割合でそういった苦手な人が紛れ込んでいて何かしら不快な記憶とリンクしています。
本作は血縁的に近しい人たちの不和を描いた作品であり、たとえば「離婚した夫やその夫の新しい妻」や「他人のプライベートを詮索してはその噂話で盛り上がる最低の親戚たち」、さらには「問題を起こす子どもたち」との関係に悩み苦しむ女性の姿が描れていました。そしてその関係の不和に苦しむのは決して彼女だけのことではなく、彼女との関係に苦しむ相手の立場から見てもとても苦しいことであることがうかがえます。
観ながら、「これはまさにわたしが幼い頃に嫌だと思っていた親戚関係そのものみたいだな」と感じたし、国を問わずこういうめんどくささっていうのはあるんだなという当たり前のことをいまさらですがあらためて実感せずにはいられませんでした。全体をとおして我がことのようにすごく首肯できる内容だったし、あまりにあるある過ぎて胃が痛くなるような作品でした....。
結局そういった人との関係にどれだけ苦しんだとしても一朝一夕ではどうにもならないわけで、だからこそこの現実を受け止めた上で、出来るところから正していこうと努力をし続けることしかないんですよね。他人だったらさっさと縁をきっておしまいとなるのでしょうが、親戚となるとそういうのも難しいんですよね...。
そのあたりの「離れたいけど離れられない関係」という部分の描写がすごくうまかったです。
あと、もうひとつは自分がそういった関係を他者に強要していないかどうかということは常に気を配っておかなければいけないなとも強く感じました。
リンの母親が彼女にとったような行動で自分の子どもを深く傷つけるような真似だけはしたくないなと心底感じました。外面を良くすることに終始して、身近な人を傷つけるようなあんなことは絶対にしたくないです。
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