「カラスの親指」見たよ


タケとテツの2人はコンビを組み、詐欺を生業として日々の生活を送っていた。ある日ひょんなことから、偶然出会った美人姉妹とひとりのノッポが2人のもとへ転がり込んでくる。そこから、他人同士のちょっと奇妙な共同生活が始まり――。

『カラスの親指』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。

細々と詐欺を繰り返して生計を立てていた詐欺師二人組がひょんなことからやくざを相手に大きな詐欺を働こうとするというお話でしたが、終始淡々と物語が展開するおとなしい作品かと思いきや、後半にはとっておきのサプライズが詰め込まれている楽しい作品でした。原作は読んでいなかったし、そもそも予告すらまともに見たことがなかったのでまさかこんな結末だとは思ってもいなくてびっくりしました。

原作未読だからこそここまで楽しめたんだろうなと思うし、それを思うと原作を読まずにみてよかったです。
すごくおもしろかったでござるよ!


それとキャストもとてもよかったです。
いままで比較的お堅い役をやる事の多かった阿部ちゃんが詐欺師をするということで期待していましたが、まさに期待どおりの適役っぷり。
実直だったがゆえにすべてを失ってしまい自らの人生を狂わせてしまっただけでなく、自分の弱さゆえに見ず知らずの人の人生まで大きく変えてしまったことに傷つき、悔やみ、そしてその償いを続けている詐欺師。そんな複雑な設定のキャラクターをちゃんと背負い上げて違和感なくその身で演じて見せた阿部ちゃんは本当にすごいなと思ったし、演技にはやや拙さを残すもののその拙さがかえってキャラクターにマッチしていた村上ショージもすごいよかったです。


個性的な登場人物ばかりでしたがそれらの食べ合わせが絶妙でして、出てくるひと全員がこの作品独特の世界観を作り上げるのに一役かっていたし、それがとてもすごいことだなとしみじみ実感しちゃいました。


ただ、上述のとおり基本路線はものすごくおとなしい内容でして、よく言えば落ち着いた、悪く言えば抑揚に欠ける作品だと感じる人が少なくないと思います。くわえて作品の上映時間が160分とかなり長めだったので、ラストに至る前に飽きてしまうんじゃないかと心配になります。もうちょっと短くまとめてくれたらきっともっと面白かったんじゃないかなと感じました*1


そこだけは少し残念でしたが、でもじゅうぶん及第点でした。


公式サイトはこちら

*1:とは言え、削れるシーンというのも思いつかないんですよね...。