「アルゴ」見たよ


1979年11月4日、イラン革命が激化していたテヘランにて、アメリカ大使館占拠事件が発生。過激派により52人の人質となり、内6人が逃げ出すことに成功した。CIAの救出作戦のエキスパート、トニー・メンデス(ベン・アフレック)は、命が狙われている彼らを無事に国外へ逃すため、映画でしか起こりえないような作戦を立てる。果たして作戦は成功するのか――。

『アルゴ』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮で観てきました。


イランで起きた内政のゴタゴタに巻き込まれてしまったアメリカ大使館の人たちが、イラン国外に逃げられなくなったためにウソの映画撮影を装って国外に脱出しようとするというなかなか無茶なお話でしたがとてもおもしろかったです。最後はもう手に汗握りながら鑑賞したのですが、じつはこれって実話をベースにしたお話だそうでしてこんなことが現実にあったのかと驚いてしまいました。


観ていて「おっ!」と思ったのが映像の微妙な粗さが、舞台となった時代の雰囲気を再現する一助となっていた点です。

昔のニュース映像のような低解像度の映像を拡大したような映像を観ていたら当時の映像を見ているような気分になったし、そのことが観ている人をより深く作品に没入させてくれたのだと感じました。細かいことなんですがあれはすごいうまいなと感心しちゃいました。

さらに、エンドロールで実話サイドの本人と作中で演じた人を並べてみせてくれたんですが、これがもうそっくり過ぎてびっくり。
いくら実話ベースだとは言え、当人に似ているかどうかなんてほとんどの人がわからないはずなのにあえてここまで似せるというそのやる気にはいたく感激したし、そのこだわりが上述の粗い映像と相まって本当に当時の映像を見ているような演出になっていたんだなと思いました。


あとはストーリーの部分もステキすぎます。

実話をもとにしているということなのでベースとなる部分は実際のお話なんでしょうけど、厳重な警備や敵対心むき出しの人々の中を潜り抜けて出国する手段として映画撮影を装うというのはあまりに無謀でバカげたお話に思えるわけです。普通に考えたらまず思いつかないし、思いついたとしても即却下レベルのアイディアにも思えるわけですが、だからこそ相手もだまされるしその大胆さに興奮をおぼえるわけです。

そして非常におもしろいのは、そのアイディアが実現したのは決して運だけではなくて、撮りもしない映画の広告を作って雑誌に載せたりコンテを作っておいたり、さらには事務所まで作っておいたからなのです。

相手の意表をつく大胆さだけではなく、そうやってウソを丁寧に塗り固めていくことで極限までそのウソを本当の話のように見せようとしたからこそ作戦は成功したのです。

そういえば、映画って人間が話を考えて物語として構築し、それを映像として撮って編集して作る作り話なわけであって、いわばウソの塊なんですよね。ウソにディテールをどんどんくっつけてそれっぽくしていくことでただのウソを本当の話に作りかえていくわけですが、本作はまさにそのプロセスを重ねていくプロセスを描いたことが結実した作品であり、そこがすごくよかったと感じました。


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