- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/04/20
- メディア: 文庫
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バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が突然部活をやめた。
http://www.amazon.co.jp/dp/4087713350
それがきっかけで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がっていく。
野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。
部活をキーワードに、至るところでリンクする5人の物語。
桐島はどうして部活をやめたのか?
17歳の彼らは何を抱えているのか?
物語をなぞるうち、いつしか「あの頃」の自分が踏み出した「一歩」に思い当たる……。
世代を超えて胸に迫る青春小説の傑作! 第22回小説すばる新人賞受賞作。
とある高校に通う5人それぞれの視点で物語が語られる群像劇を描いた作品でしたが、10代の頃に感じていた感情をうまく言語化したよい作品でした。バレー部の部長である桐島君が部活をやめたことが少しずついろんな人の生活や行動に波及しているところや、タイトルの桐島君がストーリー上に名前は出てくるものの内面までは踏み込まないところはユニークでおもしろいなと感じました。
あとストーリーもそれなりにおもしろいし、嫌いじゃないです。
高校時代を描いた群像劇といえば、豊島ミホさんの「檸檬のころ」という作品を思い浮かべるのですが、あれもかなり日常を淡々と描いていましたが、あれよりももっと日常の何気ないところを深掘りして描いていたのはよかったかなと。
ですが、この人の書く文章があまりに回りくどいというか、情景を説明するのにいちいち妙な比喩が出てくるために読んでてしんどいところが結構多かったです。もっと言えば、何いってるのか何をいいたいのかぜんぜん伝わってこないところが多過ぎました。
そんな状態でしたので読んでいて不快な感情ばかりがわいてきました...。
「テクニックにおぼれた」という言い方は好きではありませんが、文章をうまく見せようとし過ぎじゃないかなという印象を受けましたし、その肩に力の入っている感じも含め、すごく若い人が書いた本だなと感じました。その部分を受け止められる人にはすごくいい作品だと思うし、内容自体は共感をおぼえる部分も多かったので読み手が若ければ若いほど惹かれる作品だなとは思いました。
そんなわけで原作はいまいち好きにはなれませんでしたが、ストーリー自体はわたし好みなことはわかりましたので来月公開の映画はおもしろそうなのでそちらは楽しみにしています。