「ぽろぽろドール」読んだよ

ぽろぽろドール (幻冬舎文庫)

ぽろぽろドール (幻冬舎文庫)

かすみの秘密は、頬をぴしりと打つと涙をこぼす等身大の男の子の人形。学校で嫌なことがあると、彼の頬を打つのだ(「ぽろぽろドール」)。美しい容姿のあきらは事故で顔に酷い火傷を負う。事故前と全く違う人生を送る彼は、醜い恋人と別れた後、昔の恋人によく似た美しい人形に出会う(「僕が人形と眠るまで」)。人形に切ない思いを託す人々の物語。

http://www.amazon.co.jp/dp/4344013417

本書は人形と人の不思議な関わり方を描いた短編集ですが、人形への執着というのはわたしにはほんとわかんないなと思い知らされました。そしてそれはきっと男性と女性の違いなのかなということをぼんやりと思ったのでした。


女児用のおもちゃといえば着せ替え人形というのは定番ですし、幼いころにそれで遊んだことのない女性というのは少なくないのかなと思います。
人形の家なんかも人気がありますよねー。ちょっと高いけど。

うちの二人の娘を見ていると、人形は自分が意図したなにかの役割を与えてそれを演じさせるために使うことが多いです。うまく言えませんが、きっと自分の中に存在する世界を実在の世界にもってくるときに形をもたせるために人形が使われているんじゃないかなと思うんですよね。
そしてそのことはきっと女の子にとってすごく大事なことなんだろうなと。


対して男性にはそれほど人形を使った遊びというのはありませんし、あったとしても大好きなヒーローをヒーローとして戦わせるような遊び方が多いのです。むしろ自分がそういったヒーローになりきって遊ぶ方が男の子は多いように感じます。


そんなわけで自分の意図した役割を演じさせることができる人形への執着というのは女性の方が比較的つよいと思うのですが、本書にはそういった著者なりの人形へのこだわりがつまっていたように感じました。そしてその思いが強過ぎるがゆえに、どうしても共感をおぼえない部分が多く感じられていまいちのめりこんで楽しむことができませんでした。


世界観はどれも美しいし、話はおもしろいんですけどねー。