「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」見たよ


強烈なリーダーシップで、沈みゆく英国を建てなおした“鉄の女”マーガレット・サッチャー。鉄壁のように揺るがぬ意志の向こうに、彼女はどんな涙を隠していたのか? そして、彼女を支え続けた夫の存在とは? 信じるもののために力の限り闘い、傷つき、老いて戦場を去ろうとしているひとりの女性を描く感動の物語。

『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮で観てきました。


わたしは歴史全般に詳しくない上に興味ももっていなかったので楽しめるかどうか不安でしたが、史実に関する描写そのものよりも時代を代表する一人の女性の人生そのものにスポットライトを当てた作品でしてたいへんおもしろかったです。
史実面での描写を楽しみに観た人には物足りないかなという気がしましたが、わたしのような歴史弱者にはこういう方向性の方がすごく好ましくてよかったです。


本作は「男社会だったイギリスの政界で初の女性首相として活躍したマーガレット・サッチャー」の姿を描いた作品ですが、作品の主軸はあくまで彼女の人生そのものなので歴史的事実はあくまで彼女の人生を描く上で必要な分だけが抜き出されて描かれています。

政治家になるまでは歴史的な出来事はいっさい描かれず、彼女が政治家を志すに至った経緯や彼女を支えてくれる人との出会いが描かれるのですが、逆に政治家になってからはアルゼンチンの侵略やストやテロとの戦いなどの史実を織り交ぜて描かれます。

個人的なことと公的なことをバランスをとって描かれていたおかげで、時代や置かれている立場はどんどん変わっていっても彼女は強い信念をもちつづけてそれを貫く人であり続けたことが伝わってきました。
すばらしい演出とメリル・ストリープの演技が相まった結果かなと思います。


ちなみに、わたしは最近この作品のような「昔はバリバリやってた人が年を取ってよぼよぼになる姿」を見せられることにすごく弱くて、観終わってからものすごく落ち込みます。若い頃はあれだけ能力を発揮して多くの人に囲まれていたのに、年を取ったらこんなふうになるのか...と思うともうつらいんですよ。

今年観た作品だと「J・エドガー」もそうでしたが、年をとってから若かりし頃の活躍に思いを馳せるのって観ていて痛ましいなと思っちゃうんですよね...。


こんな歴史にくさびを打ち込むようなすごいことを人たちでさえこんなにヨボヨボになってしまうんだから、わたしみたいな凡人はもっとすごくヨボヨボでボケるんだなと思うし、そう考えるとはっきりいって生きる気力がごっそりとそがれちゃうんですよね。

歳をとること自体は前向きに受け止められるのですが、老いたときのことを考えるのがすごく怖いです...。


そんな老いてボケてしまった彼女の姿には、往年の姿を知らない私も悲しいと感じるのですが、一方ではそのような状態でも医師に対して「言葉が思考を作り、思考が行動を作り、行動が習慣を作り、習慣が人格を作り、人格が運命を作る」という信念をぶつけてみせます。


これはいい言葉だなと思いましたし、こんな思考すらままならない状態でなお、このような言葉が出てくるのはこれが彼女の本心であり、信念なんだろうなということでした。一国の宰相を務めた人というのはやはりすごいなと感心せずにはいられませんでした。



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