「ゴーストライター」見たよ


元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼されたゴーストライターユアン・マクレガー)。彼は執筆するため、ラングが滞在する真冬のアメリ東海岸にある孤島へ向かう。そしてラングに取材を行うが、次第にラング自身の過去に違和感を覚えるように。そこには国家を揺るがす恐ろしい秘密が隠されていた…。巨匠ロマン・ポランスキーが手掛けた2010年度ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作品。

『ゴーストライター』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮で観てきました。

お偉いさん(英国の元首相)のゴーストライターを頼まれてノコノコ出かけて行ったらひどい目にあったでござるというお話なんですが、冒頭は展開に乏しくて何度か睡魔に不意打ちをくらってものの物語が動き出す中盤くらいから一気におもしろくなって最後まで楽しく鑑賞できました。
そしてラストであの結論にたどり着くところやその後のオチの見せ方もとてもよくて、話としてはまったくすっきりしない内容なのにとてもよい気分で劇場をあとにしました。


これはとてもいい作品!かなりおもしろかったです。


さて。
世間には「好奇心は猫をも殺す」という言葉がありますが、まさにそのとおりでして知らずに済むのであれば知らない方がよいことというのが世の中にはたくさんあります。好奇心に負けて知ってはいけないことを知ってしまったがためにひどい目に合うというのは、映画にしろ小説にしろ現実のお話にしろよくある話です。


たとえば先日読んだばかりの「モダンタイムス」という本もそんな内容でして、主人公は近未来の日本の中枢に深く根付いた仕組みの謎を目の前にして、見て見ぬふりが出来ずにそれを知ろうとしてどんどんと危険にさらされていきます。


モダンタイムス(上) (講談社文庫)

モダンタイムス(上) (講談社文庫)

モダンタイムス(下) (講談社文庫)

モダンタイムス(下) (講談社文庫)


「モダンタイムス」もこの作品(映画の方ね)も、身の安全と好奇心のどちらをとるのか?なんてことで悩んだりするわけですが、ぶっちゃけこんなのは悩んだ時点でもう答えは「好奇心を取る」に決まっているんですよね。だって普通に考えたら身の安全以上に大事なものなんてないはずなのに、それと比較しようとしている時点でもう「好奇心を満たしたいのでそれを正当化できる理由」を探してるだけなんですよ。

映画を観ながら、そういう人間のどうしようもなさというか、好奇心ってのはすげーなということを改めて実感してしまいました。死ぬか生きるかで好奇心を選んじゃうのもすごいし、そんな気持ちに共感を示してしまう自分にもおどろいてしまいます。


そんなわけで、好奇心に負ける気満々のわたしはいくら積まれても絶対にゴーストライターにはなりたくないし、なっちゃいけないなと思いました(なんてだれも頼まないだろうけどね!)。


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