- 作者: 堀井憲一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/09/05
- メディア: 新書
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文章はサービスである。読んだ人を楽しませるためにのみ文章は存在する。自己表現のために文章は書くものだと考えている人がいるだろうが、大きな間違いである。「自己表現を目的とした文章」は基本的に他人に読んでもらえるものにはならない。独自の視点と実地の調査をもとに人気コラムを書き続け、数年にわたり「編集ライター講座」で教えながらプロとアマチュアの境界線を見続けてきた著者が、自身のコラムの失敗、成功、講座でのとんでもない企画、文章など豊富な実例を挙げ、逆説的真実をこめた文章法の極意を明かす。
http://www.amazon.co.jp/dp/4480066292
先日この本を紹介したエントリーを読んで気になったので読んでみましたが、「文章がうまく書けない」「おもしろい企画が立てられない」ことに悩んでいるわたしが知りたかったことに対する答えがみっしりと詰まっていました。いまのわたしにとってまさにビンゴ(死語)な内容でして、たいへんおもしろかったです。
ただ、タイトルから想像する内容とは少々離れた印象を受ける内容となっておりますので、いくつか項目に分けて感想をまとめたいと思います。
1. どんな本なのか?
本書のタイトルには「文章法」とありますが、実際に著者が語る多くは文章を書くときの心構えであってそのほとんどは具体的な文章法ではありません。もちろんそういった方法論についても少し書かれていますが、基本的には気の持ちようとか考え方が主だった内容です。
例を挙げると、冒頭に書かれているこの文章がすごく象徴的なので抜粋します。
うまく書きたいとおもっているのに書けない場合、どうすればいいのか。
うまく書きたいとおもわなければいい。
そんなわけで文章法というものを期待して読むとちょっとびっくりすると思いますし、ここで抜粋したものだけ読んだ方は「これじゃあ何のアドバイスにもならないだろ...」という意見をもたれると思います。でも、そのふんまんやるかたない気持ちはひとまず飲み込んでいただいてとりあえず最後まで読み進めていただければ、きっとこの文章の意図するところが理解できるようになるはずです*1。
そんな(どんな?)本です。
2. 参考になった箇所
いろいろとあるので箇条書きにします。
-
- 文章を書くことはサービスであることを自覚する
- 読み手を具体的に想像し、その人に向けて書く
- 自分の考えよりも読み手が読みたいと思うであろうことを優先して書く
- 文章を書くことは自己表現ではないことを自覚する
- 「人は他人の話は聞きたいけど、他人の考えは聞きたくない」ということをおぼえておく
- だから自己主張はするな。語りたいことをとにかくおもしろく語れ。
- 自己主張しなくても文章には語り方などによって個性は自ずと宿る
- 辞書を引かなきゃわからないような言葉は使わない。それは書き手の言葉にならない。
- 完全なオリジナルなんてこの世には存在しないし、あっても無意味
- 過去に書かれた文章を踏まえてひとつ独自の切り口や考え方を提示できればそれで十分価値がある
- 文章は暴走する
- 書いていると、次々と書きたいことが出てきて制御できなくなることがある
- このように書きながら書きたいことがわき出てくるような文章はいい文章
- 逆に予定していたことしか書けなかった時の文章はほぼ失敗
- 文章がうまくなる方法なんて2つしかない
- いい文章をたくさん読む
- 毎日毎日書く。続けることが大事。
- その繰り返しだけが文章力を向上させる
- 準備とかいいからとにかくすぐに書くことが大事。準備なんかしてたら書けなくなるよ。
- 文章を書くことはサービスであることを自覚する
3. 読者としての対象は?
とりあえず誰でも対象にはなると思いますが、一番フィットするのは普段から文章を書いている人で自分の文章に物足りなさを感じている人だろうと思います。つまりはわたしみたいなブログを毎日書いたり、仕事で報告書を書いたり企画書を作ったりしている人にはおすすめしておきますが、最初に書いたとおり、具体的な方法論を分かりやすく書いた本ではないのでその点だけはご了承ください。
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*1:同意できるかどうかは別ですが