「ランゴ」見たよ


ペットとして飼われていたカメレオンのランゴは、ある時ドライブ中に水槽ごと道路に投げ出されてしまう。おもちゃしかいない水槽という小さな世界で、自分は無敵だと思っていたランゴだったが現実の世界は厳しかった。流れ着いた砂漠の迷宮ダートタウンで、そこの住人たちに、自分はヒーローだと嘘をついたことで恐ろしい陰謀に巻き込まれていき…。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督とジョニー・デップが再びタッグを組み製作されたCGアニメ。

『ランゴ』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


映像の作り方が大変ユニークだということで話題になっていた本作ですが、その噂にたがわず、アニメと実写の中間くらいの不思議なリアリティで写実的に描かれたおもしろい作品でした。カメレオンのランゴの目の動きや、銀行強盗をはたらいた爺さんの鷲鼻の質感などは実写と見紛うほどの生々しかったし、さらにキャラクターたちの動きも生き生きとしていて生命が宿っているように感じられてとてもよかったです。


また、一分の隙もない脚本も大変すばらしく、ストーリー展開にほころびはまったく見当たりません。
何の力ももたない主人公が運のよさだけでヒーローとなるものの、他人によってその素性をばらされてその地位から転落し、最後は自分と向き合うことで本当の自分を見つけて本当のヒーローになるという鉄板中の鉄板のストーリーでして、これを忠実に描いて見せるわけですね。


そんなわけで映像も脚本もすごく完成度が高くて細部まで丁寧に作られていることに終始感心させられました。
ただ、ここまでこれだけ褒めてきておいてこんなことを言うのはアレなんですが、わたしは観ていてあまりおもしろいとは思えなかったんですよね...。もちろん上で書いたことが嘘だというわけでなく、映像や脚本がすばらしいというのは偽りのない本心なのですが、一方で「すごいのは分かるんだけどおもしろいとは思えない」というのもまた事実なんですね。

本作中でもっとも盛り上がるであろう「一旦、町を後にしたランゴが自分の役割を見つけて戻ってくるシーン」でさえも、たしかにものすごくワクワクしてしまった一方でどこか冷めた目で観てしまっている自分に気付いてしまい、作品の世界に入り込めてないし乗り切れてもいないことを思い知らされました。


たぶん、わたしがこの作品をおもしろいと思えない一因としては作品にたっぷりと詰め込まれていると思われるウェスタン作品の文法やオマージュを読解出来ないからだと思うわけでして、もっとウェスタンを観ておけばよかったなとちょっと残念に感じました。


ストーリーを楽しめるかどうかについては保証できませんが、映像には一見の価値があることは保証します。


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