「ツレがうつになりまして。」見たよ


高崎晴子(宮崎あおい)と高崎幹夫(堺雅人)は お互いを「ツレ」「ハルさん」と呼び合う仲の良い夫婦。彼女はマイナス思考で怠け者ながらも、生真面目なサラリーマンの幹夫に温かく見守られながら好きな漫画を描いていた。ところがある日、幹夫がうつ病になり、満員電車にも乗れない状態に。そんな彼の姿を見て、晴子は自分がいままでどれだけ幹夫に甘えていたかを実感する。これまでと違い、自分が彼を支えるという生活の中で幹夫への深い愛を再確認する晴子。そして彼女は一心不乱に本当に描きたい漫画を執筆し編集部へ持ち込む。それは、2人の日々を描いた漫画だった――。

『ツレがうつになりまして。』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。


予告からはそんなにすごい作品だという雰囲気は感じなかったのですが、実際に観てみたらたいへん心を揺さぶる作品でしてとてもよかったです。細かく指摘したい点もあるのですが、そんなことよりも「共に支え合って生きていく」ことのよさとか大変さを、ところどころにユーモアを交えながら丁寧に描いていてふかく感銘を受けました。
感情をあちこち引き回され、途中途中で何度か涙しながら最後までたのしく鑑賞しました。


今年観た邦画としては「八日目の蝉」と並んで断トツで言っていいくらい好きな作品です。


さて。
作中でも「うつ病心の風邪だ」という言葉が出ていましたが、たしかにうつ病になるというシチュエーションは世の多くの人にとって他人事ではないのかも知れません。私は基本的にものすごくアバウトな性格なのでうつ病になることはないと思うのですが、それでも日常的にいろんなストレスにさらされているとものすごく生きていくのが嫌になって四国の海沿いあたりに逃げ込みたくなります。


わたしみたいな適当な人間ですらそう思うんですから、真面目な人なんか余計そうですよね...。


堺さん演じるツレは、仕事で大きなストレスを抱えていたせいで心がへし折られてしまいうつ病と診断されるのですが、
たしかに彼は真面目過ぎるくらい真面目な性格なんですが、でもそれ以外はおどろくくらい普通で特別なところがないんです。


そんな状況だからこそ自分も同じような状態に陥ってしまうことを自然と想起させられたし、くわえて堺さんの演技があまりに自然過ぎて見ていて怖いと感じるくらいに引きこまれてしまいました。


さらにハルさんの心境の変化の描写もすばらしくて、鬱というのがどういうものか分からない状況から本当に大変な状況になっていると気付いていくシークエンス、そして自分が仕事に希望のつけなかった時に唯一のやりたいことだったマンガを描くことを肯定した上で救いの手を差し伸べてくれたツレへの想いを再確認して支えることを決意していくながれにはグッときました。
観ている時はすごくうまい演出だと思って観ていたのですが改めて思い返してみると結構ベタな展開のような気もしていますが、でも、辛いときに支えてもらった過去を思い出したハルさんが自分も同じように支えたいと決意するまっすぐさがもうすごくよかったことは間違いなくて本当にここはよかったなと。


ただ、こういう結婚に対する前向きさが逆に観る人を選ぶことになるんじゃないかという気はしています。
いま現在、結婚に興味が無いとか今現在結婚生活がうまくいってないという否定的な感情を持っている人は見るとイライラしちゃうかも知れないなとも思ったのでした。そういう人にはおすすめしません。



とまあいろいろと書きましたが、とにかく宮崎あおいがあまりにかわいくて、「こんなかわいい奥さんが家にいたら、仕事なんて適当に終わらせてさっさと家に帰るから鬱になんてならないな」と思ったのでした。





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