「アウトバーン」読んだよ

アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子 (幻冬舎文庫)

アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子 (幻冬舎文庫)

暴力を躊躇わず、金で同僚を飼い、悪党と手を結ぶ。上野署組織犯罪対策課の八神瑛子は誰もが認める美貌を持つが、容姿から想像できない苛烈な捜査で数々の犯人を挙げてきた。そんな瑛子が世間を震撼させる女子大生刺殺事件を調べ始める…。真相究明のためなら手段を選ばない、危険な女刑事が躍動する、ジェットコースター警察小説シリーズ誕生。

http://www.amazon.co.jp/dp/4344417062/

夫を亡くしたことをきっかけに生きざまががらりと変わった女性刑事が主人公として活躍する本作ですが、そのハードボイルドなかっこよさと読み手を惹きつける先の読めない展開があまりにおもしろくて一気に最後まで読んじゃいました。わたしが過去に読んだ本でいうと、大沢在昌の「魔女の盟約」「魔女の笑窪」が登場人物的にも世界観的にも近い印象を受けたのですが、こういう「自分が住んでるこの世界にも別世界の出来事のようなすごいことが行なわれているところがある」と感じさせてくれる作品がわたしは結構好きなんだなということを読んであらためて感じました。


さて。
本作を読んでいたら主人公の八神は誰かに似てるような気がしてあれこれ考えてみたんですが、どうやらダーティハリーに似ていると感じていることに気付きました。ルール無用の犯罪者をルールを守りながらつかまえなければならないことへのいら立ちが、ルールを超えて犯罪者を捕まえようとする一人のヒーローを生み出すというところに類似性を感じたんだろうなと思います。
不謹慎かも知れませんが、正義を貫くためにはどこまでルールという枠をはみ出すことが許されるのかってのはおもしろいテーマだなと感じました。


そんなわけで本作はとてもおもしろかったのですが、続きが気になるというか、完結までに10年以上かかる長編になったらどうしようかといまから不安になります。宮本輝氏のファンが「流転の海」シリーズが自分が生きている間には終わらないことを嘆いていましたが、いまやっとその人の気持ちを理解出来たような気がします。


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