「メアリー&マックス」見たよ


オーストラリアに住む8歳のメアリーは、シェリー酒中毒で万引き常習犯の母親・ベアラと、死んだ鳥で剥製をつくり続ける父親・ノエルと暮らす空想好きの女の子。ある日彼女は、アメリカに住む“誰かさん”に手紙を送ろうと、電話帳からひときわ変わった名前の“マックス・ホロウィッツさん”を選び出す。その“マックス”は、社会に馴染めず、大都会ニューヨークで孤独な日々を送っている中年肥満男。そんなマックスのもとに、一通の手紙が届いて――。監督アダム・エリオットの実体験に基づいた、絆を描くクレイアニメーション

『メアリー&マックス』作品情報 | cinemacafe.net

目黒シネマにて。2011年上半期ベスト未見作品補完計画第一弾。


始まって早々、かわいげのないキャラクターと延々と続くナレーションにわたしはちょっと気が滅入ってしまいました。
果たしてわたしはこの作品を楽しめるのだろうか...と不安をおぼえたのですが、独特な世界観で普遍的なテーマを魅力的に描いていることに気付いてからは、一気に引きこまれてしまいました。多くの方が上半期ベストに選んだのも納得できる傑作!


いつからか覚えていませんが、大人になったわたしは一人でいることを好むようになっていました。
買い物に出かけたりご飯を食べに行ったりするのはもちろん、遊びに出かけるのも一人が気楽で一番いいと思っていたのです。
家族はまた扱いが違うというか気の遣い方がまったく違うので一概には言えませんが、どんな場面でも基本は一人でいることが好きでした。例えば大勢の人が周りにいるのに誰も自分を知らないという状況や、誰とも話さずにあちこち歩き回って自分の好きなものを観て回っている時をすごく幸せだと感じることに気付いていました。
ただ他者が嫌いだというわけでは決してなくて、むしろ他の人と一緒にいるときにあれこれ話すのは大好きなのですが、一人でいるのがいいかそれとも大勢でいるのがいいかと言われたら迷うことなく一人でいることを選ぶくらいに一人が好きなだけなのです。


ところが、こんなに一人でいるのが好きなわたしでもごくたまに他人と関わりたくなる瞬間というのがあって、そんな時は一人であることに耐えがたい寂しさをおぼえます。そしてこのことが、人間は根本的な部分で他者とつながりたいという欲求をもっているんだなと実感させられるのです。


本作を観て感じたのは、まさに「どんな人間も他者とのつながりを欲する」ということ。
メアリーもマックスも人付き合いが苦手で友だちの一人もいなかったんだけど、だからこそ自分に欠けている部分を何とか埋めたくて他人とつながりたいという気持ちをつよく持っていたんだと思うんですよ。同じものを欲する二人の想いが引き合うのは当然のことだと思っていたしその展開を期待していたのですが、でも例えば磁石は+極同士は斥力となってしまうように、同じ属性をもつもの同士は惹かれあうだけでなく時に反発しあうこともあるのです。


二人が二人とも同じ「他者とのつながり」を求めながら、なかなか思うようにそれを手に入れられないもどかしさや辛さ。
そんな感情に浸らされた2時間でした。


世界中探してもこんな作品は絶対にないだろうと断言できる、唯一無二のすばらしい作品でした。


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