「アリス・クリードの失踪」見たよ


若い男と中年男の2人は綿密に練った計画の下、富豪の娘アリス・グリードを誘拐する。監禁状態のアリスは、絶対的な恐怖の中、生き抜く希望を持ち続けた。そんな中、首謀者の中年男が外出した際に反撃を試みたアリスだったが、共犯の男が驚愕の事実を口にする。そして、その瞬間から誘拐犯とアリスの関係がねじれ始め、3人の力関係が目まぐるしく変化する。200万ポンドの大金を得るための用意周到な誘拐計画が、3人の生き残りをかけた戦いへ変わっていく――。

『アリス・クリードの失踪』作品情報 | cinemacafe.net

ヒューマントラストシネマ有楽町にて。


刻々と状況が移り変わっていくスピード感あふれる展開の気持ちよさと、いまより少しでも優位な立場に立とうと智謀をぶつけあうスリル満点の展開がものすごくおもしろい作品でした。
登場人物は3人しか出てこないし、シーンのほとんどが限られた密室で展開されるという制限だらけの作品でしたが、その分無駄なところがなくて集中して観られたのがよかったのかも知れません。3人の相関やらおかれている状況に関する情報の出し方がとてもうまくて、最初から最後まで目の離せませんでした。結末が期待していた方向にすすんでくれたのもGoodでした。


わたしが本作を観てとても面白いなと感じたのは、計画の完璧さと計画が成功するかどうかというのは必ずしも一致しないんだということが描かれていた点です。


冒頭、キビキビと何かの準備にいそしむ二人の男の様子を見ているだけで、いかに二人がこの計画を綿密に練っていたのかということが伝わってきました。また、幾重にも失敗しないような工夫を盛り込んで実践している様子も描かれていたために、こうやって誰かを罠にはめようとしている人が世の中にいるかも知れないと考えると、そのあまりの残酷さと恐怖に背筋がゾクゾクしてきたのです。
こんな奴らにつかまったら絶対に逃げられない...と思ったし実際しばらくはそういう状況だったのですが、失敗する要素がないように見えた完璧な計画も、遂行者の未熟さによってどんどんほころびを見せ始めます。計画は完ぺきだけど実行する段階で崩壊してしまうという部分に、人間らしさというか完全犯罪の難しさみたいなものを垣間見たように感じました。


会話で相手の心に好きを作って組み伏そうとするあたりが「嘘喰い」が好きな人には受けるんじゃないかなーと思ったので、もし嘘喰い好きがいればぜひ見て見てください。

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