「ザ・ライト」見たよ


信仰を見失ったアメリカの神学生マイケル(コリン・オドノヒュー)は、もうすぐ卒業という時期にも関わらず、司祭への道を自ら捨てようとしていた。そのことを知った恩師に引き止められ、マイケルはローマに渡ってバチカンエクソシスト養成講座を受け始める。やがて、“一流のエクソシスト”、ルーカス神父(アンソニー・ホプキンス)の悪魔祓いを手伝うことに。当初は悪魔の存在を疑っていたマイケルであったが、ある少女の儀式で、その疑惑を打ち砕く恐怖の出来事を目撃する――。

『ザ・ライト −エクソシストの真実−』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。


「事実」と「真実」


どちらも似たような字面であり意味も似ているような気がするのですが、実際にその意図するところは異なります。


事実は"実際に起こった事象そのもの"、そして真実は"本当のこと"を表す言葉であると理解すれば、「事実はひとつしかないけれど、真実は見た人の数だけある」という主張の正しさにも首肯できます。言い換えれば、起きた事象(==事実)に対する理解(==真実)が人それぞれで異なるということであり、これは多くの人たちと正しいこととして共有できる考えではないかと思うのです。


具体例として、原発で何か異常が発生したように見えるのに東電からの発表が遅れた場合を例に考えてみます。


事実:原発で異常が発生したように見える / 東電の発表が遅い

真実(1):東電は何か都合の悪い情報を隠している
真実(2):異常事態の対応に追われてるんだろう
真実(3):実は異常は発生していなかった


真実(1)は東電に疑いの目を向けている人から見た真実であり、真実(2)は東電に信頼を寄せている人から見た事実、真実(3)は超楽観主義者から見た事実です。詳しい情報が入っていない状況においては、真実 != 事実となることも少なくないのです。


本作を観て感じたのは、物事をどういった切り口で理解するのかというのは人それぞれであるということ。
苦しむ人を見て「悪魔に憑りつかれている」と判断するルーカス神父に対して、それは肉体的、精神的な疾患ではないかと疑うマイケルという対立軸が明確に示すとおり、何かを見て出す結論はひとそれぞれ異なります。同じ信仰のもとに立つ人間であっても*1これだけ感じることは違うわけですから、そうでない人間はさらに違ってもおかしくないわけです。


まして、信じるものが異なる者同士であればなお違うわけでして、「本当に同じものを見てるの?」と言いたくなるくらい違って当然なのです。

「UFO?」って聞くと「ご先祖様の霊魂が...」って言う
「心霊写真?」って聞くと「ご先祖様の霊魂が...」って言う
「ヒトダマ?」って聞くと「ご先祖様の霊魂が...」って言う

そうしてあとでこわくなって 「でも本当はなんでもないんでしょ?」っていうと「お祓いしましょう」っていう

こだまでしょうか?
いいえ、宜保愛子です。

「UFO?」って聞くと「プラズマ」って言う
「心霊写真?」って聞くと「プラズマ」って言う
「ヒトダマ?」って聞くと「プラズマ」って言う

そうしてあとでこわくなって 「でも本当はプラズマじゃないんでしょう?」っていうと「じゃあ実験しましょう」っていう

誤解でしょうか?
いいえ、大槻教授です。


話は全然変わりますが、いま調べてみたら宜保愛子さんは亡くなってたんですね...。全然知りませんでした。
いまさらですがご冥福をお祈りします。


話を映画に戻して、予告でも出てた釘を吐き出すシーンなど、結構ウワッと感じるシーンも多かったのですが、その割に笑えるシーンもあったのでどういう感情表現を引き出そうとしているのかよく分からないところもまたユニークでした。
面白かった!

公式サイトはこちら

*1:本人の意識レベルの差異は相当ありそうですが