「英国王のスピーチ」見たよ


現イギリス女王・エリザベス2世の父、ジョージ6世が主人公の歴史ドラマ。吃音症を抱えながらも言語療法士の助けを借りて障害を克服し、第2次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。トロント国際映画祭にて観客によって選ばれる観客賞を受賞。

『英国王のスピーチ』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。
2011年のアカデミー賞作品賞受賞作品として話題になった本作ですが、目を引くような演出やサプライズがあるわけではありませんが、安定した演技とそれを活かした演出、そしてとてもよく練られた脚本がひとつとなってすばらしい作品へと昇華されていました。


今自分が考えていることを漏れなくすべて他人に伝えること。
たったそれだけのことなのに、なぜそれがこれほど難しいのかわたしはいつも頭を悩ませています。一生懸命に言葉を尽くして語りかけても無視されることもあるし、自分では完璧だと思った資料も人によっては言葉足らずだったり分かりにくいと切り捨てられてしまったりするのです。
もちろんそれらがわたしのコミュニケーションスキル不足に起因することは否定しませんが、でも同じ母国語を持つ者同士、そして同じような教育を受けてきた者同士分かりあえていいんじゃないかと思うんですが、世の中そんなに甘くありません。全然分かりあえない。
本作ではジョージ6世が吃音に悩み、自らの言葉で民衆に語りかけられないことに苦しむのですが、他者に自分の考えや意見を伝えられない・伝わらないというのはとても普遍的な悩みであり、特にわたしは自分が口下手であることにとても劣等感をもっているのでジョージ6世の悩む姿を自分自身の悩みに重ねてしまいます。


独善的な性格が災いして悪意はないのに他者とうまくコミュニケーションが取れないザッカーバーグの姿を描いた「ソーシャルネットワーク」に対して、幼い頃の出来事がきっかけてうまく話すことが出来なくなり他者とコミュニケーションが取れなくなったジョージ6世の姿を描いた「英国王のスピーチ」。アカデミー賞で作品賞を争った両作品が、共にコミュニケーション不全に悩む人の姿を描いていたのはなかなか面白いと感じました。


大事な人に支えられて自らの欠点を克服できたジョージ6世とは対照的に、その性格ゆえに大事な人とのつながりを失ってしまったザッカーバーグに対してより強く共感を覚えた分、「ソーシャルネットワーク」の方が好きだと感じたのかなーなんて思ったのでした。


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