「KG カラテガール」見たよ


伝説の世界最強の空手家、紅宗次郎の子孫の紅彩夏(武田梨奈)と紅菜月(飛松陽菜)は父(中達也)の元で日々稽古をして、暮らしていたが、ある日謎の集団に道場が襲われ、父が死に、妹の菜月は連れ去られてしまう。時が経ち、横浜。彩夏は普通の高校生として過ごしていた。だがある出来事で生き別れた菜月と再会する――。CG、ワイヤー、スタントを使用せず本格的なアクションシーンが繰り広げられる実闘カラテアクション。

『KG カラテガール』作品情報 | cinemacafe.net

横浜ブルク13にて。


昔々「AVにドラマ部分は必要かどうか?」という議論をどこかで読んだのですが、なるほど面白い疑問だなと感じたのを覚えています。
「そんなシーンは要らない」派と「ストーリーがあるからこそ興奮するんだ」派が熱く激論を交わしていましたが、当時「そんなシーンは要らない」派に属していたわたしにとって非常に学ぶところの多い論戦でした。


わたしは自慢できるほどたくさんのAVを見たことがあるわけではありませんが、基本的にAVのストーリーってものすごく適当だと思っていました。「あってないようなもの」という表現がこれほどふさわしいものはないんじゃないかと思うのですが、パッケージにつけられたタイトルに対する言い訳程度のささやか繰り広げられるストーリーのどこに必要性があるのか?、というのが当時のわたしの考えだったのです。
同胞である「そんなシーンは要らない」派の面々もおおよそ同じようなことを主張していたのですが、それに対して「ストーリーがあるからこそ興奮するんだ」派からぶつけられたある意見を読んだわたしは自分の想像力の無さを痛感したのです。


「裸になる過程が一番興奮するじゃん!」


裸になる過程を知ることでそこに至る経緯を楽しみ、そしてよりエロさを楽しめるんだ!という主張はまったくそのとおりでして、何でいままで「そんなシーンは要らない」派だったのかと自分にツッコみたくなるくらいの衝撃を受けました。
それ以来、すっかり宗旨替えをしたわたしは「ストーリーがあるから興奮するんだ」派として今もその教えを大事にしているのですが、今度はストーリーを重視し過ぎるあまり、ストーリーがつまらないことが許せないと感じるようになってしまいました。
この時のことから学んだのは、何かを活かすためにはコンテキストがものすごく大事だということです。AVにおけるストーリーというのは本題に関係のない部分と言えばそのとおりですが、本番に至る文脈を知ってより興奮するためには必要なものなのです。


本作「KG」は、主演の女の子のかわいさとアクションシーンのすごさを売りにした作品であり、その点については一切の文句も出ないくらいすばらしい内容でした。主演の武田さんは一見ものすごく大人しそうな外見なのですが、ひとたびアクションシーンに切り替わると目を疑うくらいの激しいアクションを見せてくれます。
身長よりも高い場所へのハイキックに始まり、壁を使った三角蹴りやヌンチャクを使ったアクションなど、そのいずれもかなりの完成度が高く、ものすごくかっこいいのです。すごい!

特にわたしが好きなのは相手を踏み台にした連蹴りから最後は足払いをするアクションなのですがこれがもう超COOL!

↑この予告の15秒のところでやってるアクションです。


これはもう本当に宣伝のうたい文句どおりで大いに満足したのですが、映画自体には正直不満がかなり残ってしまいました。


どこがよくないってストーリーとか演出が壊滅的にダメなんですよね...。
特段面白みを感じないストーリーや抑揚に欠ける演出、そして拙い演技。


本来であれば、彩夏が戦いに駆り出されるにいたった経緯や暴力を行使しなければならない理由を語り、アクションシーンを楽しむための文脈をしっかりと構築して欲しかったのに、観る人に語りかけるものや惹きつける要素が一切感じられなかったのです。
その点がとても残念でした。


ただ、上述したとおり、アクションシーンの面白さは疑う余地のないくらい本物だったと感じたので、武田さんの次作には期待したいです。


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