「ガフールの伝説」見たよ


“純血団”からフクロウたちを救う大戦に挑んだフクロウの勇者たち。その語り継がれる伝説に夢中になるフクロウのソーレン。いつか勇者たちの一員になることを夢見るソーレンを兄のクラッドはせせら笑う。ある日、クラッドとソーレンは木の上にあった巣から落ち、純血団にさらわれてしまう――。キャサリン・ラスキーのファンタジー小説を『300[スリーハンドレッド]』の監督、ザック・スナイダーによって映画化。

『ガフールの伝説』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。ザック・スナイダー監督最新作。


ザック・スナイダー監督といえば「300」や「ウォッチメン」で見せたスローモーションを駆使した映像や、かっこいいシーンが印象深いのですが、本作でもアニメーションとは思えないほど毛の一本まで精巧に描かれたキャラクターをグリグリ動き、そして監督らしさを感じさせる映像が繰り広げられます。今まで「この映画を誰が撮ったのか」ということはあまり意識したことがなかったのですが、本作を観て誰が撮るのかということがいかに大事なのかということをとても強く実感しました。
ザックすごい!


さて。ザック・スナイダー監督の撮る作品に共通しているのはその映像の素晴らしさだけではなく、語られる物語がいずれも過去のものであるということです。昔の物語を伝説として語り継ぐお話ばかりという印象があります。「300」も「ウォッチメン」もフレームワークとしてはそうなってます。昔起こったすごい出来事やそれを成し遂げた人たちの栄光について語ることがとても好きなようです。
本作もタイトルに伝説とあるとおり、過去の起きた戦争とその中で英雄となった一羽のフクロウについて語られ、そしてその伝説のフクロウに対して羨望のまなざしを向けるもの、そんなのは作り話だと一顧だにしないものが出てくるところから物語は始まります。しかも対照的な視点を持ったのが兄弟であり、両者はさまざまな局面でその価値観をぶつけ、争い、そしてその戦いもまた伝説になっていくのです。


先日読んだ「浦島太郎の真相」という本を読んで感じたのですが、実話であれ、作り話であれ、長く語り継がれる物語というのはその物語が一般的な真実や教訓を含んでいることが往々にしてあります。
ただ、実際には「長く語り継がれている物語は真実や教訓を含んでいる」のではなく、逆に「時代に左右されない教訓や真実を含んだ物語だからこそ長く語り継がれている」のだと思いますし、そんな語り継がれる物語を描きたいという気持ちが監督の中にはあるのかなと感じたのです。
ちょっと考えてみただけでもそれってすごく難しいことだと思うんですが、でも過去の作品と本作品を観る限りではすばらしい成果を残しているなとつくづく実感させられます。撮った作品に一貫した思いが感じられて、しかも面白いというのはすごいです。


実写と違ってアニメーションだったら何でも出来るんだからどんな映像が映し出されたって驚かないと思い込んでいましたが、そんな自分の浅慮さを恥じたくなるくらいすばらしい作品でした。


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