「パイロット・フィッシュ」読んだよ

パイロットフィッシュ (角川文庫)

パイロットフィッシュ (角川文庫)

人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない―。午前二時、アダルト雑誌の編集部に勤める山崎のもとにかかってきた一本の電話。受話器の向こうから聞こえてきたのは、十九年ぶりに聞く由希子の声だった…。記憶の湖の底から浮かび上がる彼女との日々、世話になったバーのマスターやかつての上司だった編集長の沢井、同僚らの印象的な姿、言葉。現在と過去を交錯させながら、出会いと別れのせつなさと、人間が生み出す感情の永遠を、透明感あふれる文体で繊細に綴った、至高のロングセラー青春小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

http://www.amazon.co.jp/dp/4043740018

記憶の不思議さや人生のどうしようもなさをつづったとても面白い作品でした。比喩的な表現のひとつひとつがとても美しくて、気に入った言い回しについてはメモをとってしまうほど気に入りました。


本作品全体の印象としては、透明だけれどつかみどころのない物語という表現がぴったりくるくらいとらえどころのない雰囲気でして、夏の夜に見た夢のようでした。読み終わった後は真夜中に目が覚めたときのようなぼんやりとした気分になってしまい、しばらく頭がぼーっとしたままになってしまいました。