北海道で東京の大学への進学を目指し勉強に励む紗枝は水産高校に通う康平と出会い恋に落ちる。やがて紗枝は上京し遠距離恋愛が始まる。夢を持って都会で暮らし美しさを増してゆく紗枝と故郷に残った康平。気持ちは変わっていないと思いつつも2人は別れを選ぶ。やがて、紗枝の前に同じ夢を持つ大学の先輩・北見が現れ…。
『ハナミズキ』作品情報 | cinemacafe.net
TOHOシネマズ宇都宮にて。
タイトルの「ハナミズキ」というのは一青窈のヒット曲である同名の楽曲からつけられたそうでして、本作はこの楽曲の歌詞にある「君と好きな人が、百年続きますように」をモチーフとして描かれた物語です。この曲自体はとても好きな曲なのですが、「恋空」を観て以来、新垣結衣はちょっと苦手なタイプとして印象付けられていたことと、予告映像からはかなり厳しい内容となるように感じられたために当初観る予定はありませんでした。ただ、キャストがやけに豪華で観てみたいと思う人が多かったことと生田君が漁師役に挑戦するということに惹かれて観に行ってきました。
まず、最初に述べておきたいのは全体として観た物語、つまり脚本の出来は非常によろしくないということです。これはもう致命的と言っていいくらいダメ過ぎます。
作品全体では、"康平と紗枝が初めて出会ってからの10年"が描かいているのですが、その10年を構成する個々のシーンのつながりがとても弱く、それぞれのイベントをただ点々と描いているに過ぎません。あとでちゃんとあらすじをまとめますが、例えば大学生になった紗枝の日常はまったく描かれておらず、「入学」→「入学した年のクリスマス」→「就職活動(4年)」という流れで話が進んでいきます。その端折られた3年間の康平との関係についてはまったくの説明もありませんが、クリスマスの出来事を考えれば何もないまま終わるわけもなく、ただ描くのが面倒だから飛ばしたような印象を受けるのです。
そしてここだけではなく、全体的にこんな感じで大事なことは飛ばしながらいかにも感情を揺さぶろうとするイベントばかりが描かれていくのがものすごく不満なんですよね。もちろん観る側に内容を想像させることは悪いことではありませんが、それも度が過ぎれば単なる怠慢ですよ。
と、結構ストーリーには不満を覚えたはずなのですが、観終わって口をついて出たのは「結構面白かったなあ」という言葉でした。
いやホント、自分でもびっくりしたのですが観ている最中から作品には不満を感じながらもでもすごくのめりこんで観てしまったんですよね。展開が容易に読める分かりやすさとキャストの本気が伝わってきてすごくよかったんですよね。
上に書いた不満とは矛盾するようですが、なかなか楽しい作品でした。誰にでもおすすめ出来るわけではありませんが、物語を脳内補完するのが好きな想像力豊かな人には一見の価値のある作品だと思います。
(後日追記します)
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