「家日和」読んだよ

家日和 (集英社文庫)

家日和 (集英社文庫)

会社が突然倒産し、いきなり主夫になってしまったサラリーマン。内職先の若い担当を意識し始めた途端、変な夢を見るようになった主婦。急にロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家などなど。日々の暮らしの中、ちょっとした瞬間に、少しだけ心を揺るがす「明るい隙間」を感じた人たちは…。今そこに、あなたのそばにある、現代の家族の肖像をやさしくあったかい筆致で描く傑作短編集。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087465527/

わたしはあまり世間の目というものを気にしないように心がけていますが、それでもあまり変な人には見られたくないとかなめられたくない(←発想が田舎のヤンキーw)みたいないわゆる見栄みたいなものはどうしても消えなくて、当初の心がけはほとんど霧消しているに近い状態です。
たぶんこれはわたしが生まれてからの18年間を過ごした秋田での生活がどうしても抜けきらないからでして、どうしても近所の人の視線や付き合いのある人たちの評価みたいなものを気にしてしまうのですよね...。
わたしが思うに、他人と自分を比べてもいいことなんてひとつもないし、まして他人からの評価なんて気にしたところでどうにでもなるもんじゃないですから気にするだけ損だと思うのですが、でも現実にはなかなかそう割り切れないものなのです。


本作は5編の短編から構成されているのですが、周囲からどう見られるのか?とかどう思われるのか?ということをすっかり気にしなくなることでどれだけ楽しく生きられるのかが描かれている作品が多くてとても楽しく拝読しました。他人からどう思われようと、自分がやりたいことや自分が正しいことは貫く方が絶対に楽しいし幸せになれるよね、という主張が文章の端々から伝わってきました。
一番大事なのは自分の気持ちだということを強く実感できるとてもよい作品でした。


そして「ただ、そうは言ってもそれなりに周囲と関わって生きていく上でまったく好き勝手しててもいいわけじゃないよ」、ということを本書最後の短編でちゃんと釘をさしてあることに、うまいなーというかすごくバランス感覚が優れてるなーと感心させられました。