「バベットの晩餐会」見たよ

バベットの晩餐会 [DVD]

バベットの晩餐会 [DVD]

時代は19世紀、重苦しい雲と海を背景にしたユトランドの片田舎が舞台である。マーチーネとフィリパは美しい姉妹だったが、牧師である父に仕える道を選び、清廉な人生を過ごしながら年老いていた。やがて姉妹のもとにフランスから亡命してきた女性バベットが転がり込み、家政婦として働くようになる。牧師の死後、村人の信仰心が衰えを見せていたため、姉妹は父の生誕100年を記念したささやかな晩餐会を催して村人を招待することを思いつくが、バベットは姉妹に対して晩餐の企画を一任して欲しいと願い出た。実はバベットには様々な秘密があったのだ。

バベットの晩餐会 - Wikipedia

TOHOシネマズ宇都宮にて。午前十時の映画祭にて鑑賞(17本目)。


延々と言葉で状況を説明するのって映画としてどうなの?という理由からあまりナレーションの多い映画は好きではないのですが、この作品の冒頭部分はまさにわたしの苦手なナレーションで状況を語り続けるシーンが続いたために少々うんざりしてしまいました。
たしかに込み入った設定ではあるのでナレーションが必要なのは分かるのですが、でもさすがに多いよね...これ。
その後も微妙に意図を汲み取りにくいというか、どういう方向に展開するのかが読めないストーリーに不安をおぼえながら観ていましたが、気付けば物語にグイグイと引き込まれていきました。ラストの晩餐会のシーンは本当に印象的で、何だかすごい作品を見てしまったなという思いが残りました。
ナレーションが多過ぎることへの反発心が大勢を占めていた前半から一転して、後半の引きずり込まれるような力強さには感心させられました。すごい。


正直、わたしが一体この作品の何に惹かれたのか分かりません。
たしかに晩餐会のシーンはよかったのですが、決してそこだけに惹かれたわけじゃなくてこの作品を支える何かにわたし自身が反応しているんじゃないかと思っています。ふと考えて思い当たるのは、この作品で散見される大多数の普通の人々のもつ信仰心のいい加減さや、バベットの作った料理に感動して心を動かされた人々の反応でして、その中に何かあるんじゃないかと感じています。
わたしは神なんて信じませんが、食べた人の心を安らかにしてくれるバベットの作った料理はまさに神のような存在だよなあと思ってしまったわけで、このあたりをとっかかりにしてもう少しこの作品について考えをまとめてみようと思います。