「激突!」見たよ

平凡なセールスマンであるデイヴィッド・マン(デニス・ウィーバー)は、借金取り立てのため車でカリフォルニアへ向かう途中、ハイウェイにて道を阻んだ大型トレーラータンクローリーに腹を立て、強引に追い抜く。するとその直後から、大型トレーラーはマンの命を執拗につけ狙ってきた。必死に逃げるマンと追いかける大型トレーラー。最後に彼らを待っていた結末は…。

激突! - Wikipedia

TOHOシネマズ宇都宮にて。午前十時の映画祭にて鑑賞(16本目)。


だいぶ前のことなのですが、車でとてもひどい目にあったことがあります。
佐野へ車で出張して高速道路を使って帰ってきたのですが、そのときにライトが上向きになったまま走ってしまったことがあります。今だったらライトの明るさが普段よりも明るいということやメーターのあたりに出ている表示で気づくのでしょうが、当時は車をもっていなかったのでよくわかってなかったんですよね。なんて、言い訳になっちゃうんですが...。
そのまま走っていると、前を走っている車が追い越し車線に移動してスルスルと後方へと移動したかと思ったら、わたしの後ろに移動したかと思うと突如パッシングを繰り返しながら車間距離を詰めてきて煽り始めたのです。一体何事かと考えたところでやっとライトが上向きだったことに気づいて戻したのですが一向にその車の煽りは収まらず、アワアワと慌てて追い越し車線へと移動したのですがそれでも後ろにくっついてきてパッシングを繰り返されてうんざりしたことがあります。


きっかけはわたしがライトを上向きにしてたことが悪いのはたしかですが、だからといってあんなふうに煽られても正直何が原因で煽られているのかなかなかわからないと思うんですよね。たしかにライトを上向きにされると前の車がうっとうしく感じるのはわかるのですが、その見えにくくなってしまう危険性よりも煽られて事故に合う危険性の方がよほど高いとわたしは思うのですよね。しかもライトを上向きにするのを止めても煽ってきているわけですから、こういう人は単に自分自身は相手の非を正そうとしていることを盾にストレスを発散できるはけ口として使われてるだけなんですよね。
そういう人は単なるキチガイです。
# なんて書くとわたしの逆ギレと思われそうで悲しいのですが、でも物事の程度が分からないのは異常です


こんなふうに、何気なくとった軽率な行為が他人の逆鱗にふれてしまうということはたまにありますが、本作「激突!」もまたそんなキチガイに魅せられた男性が主人公の物語でして、道路で車を追い越したら殺されそうになったというとんでもないお話。上映時間90分のほとんどが変な人に追いかけられるシーンでして終始緊張しっぱなしの怖い作品でした。観終わって帰るときにはもう車なんて乗りたくない...と思うほど恐怖を植えつけられてしまいました。


本作は大きく2つのことが示唆していると感じたのですが、ひとつは上に書いたとおり「世の中には想像を超えるキチガイがいるから気を付けろ」ということであり、もうひとつは「車に乗るのと性格が変わる人は気を付けろ」ということです*1
後者をもう少し具体的に説明をすると、危ない運手をするのって荒くれ者じゃなくて小心者の方じゃね?ということであり、このことを証明しているのは追いかけられたマンでもあり追いかけていたトレーラーの運転手でもあるのです。


例えば、そもそもの事の発端はマンがトレーラーを追い抜いたことに始まるのですがその後何度も抜いてくるトレーラーに対して抜き返したりして、マンの運転もあまり行儀がよくない様子がうかがえます。では、マン自身が荒くれ者なのかと言われると決してそうではなくて、例えば作中ではバーでケチャップを持ってきてほしいのにお店の人にすぐに頼めない程度に小心者であるエピソードも織り込まれています。
さらに、追いかける側であるトレーラーの運転手も同様でして、一度マンが車から降りて直接トレーラーに駆け寄ろうとするのですが、逃げるように移動してしまったのです。なぜトレーラーの運転手が逃げたのか考えてみたのですが、車に乗っていれば、乗用車 VS トレーラーという構図ですからトレーラーの圧倒的優位は揺るぎませんが、車から降りてしまえば一対一の人間同士となってしまいトレーラーが優位とは限らなくなってしまいます。つまりトレーラーの運転手もまた実のところ小心者であり、大きな車に乗っていなければ争うことなど出来ない人間であることがうかがい知れるのです。
このことから分かるのは、小心者の方が車に乗ると危ない運転をしやすいということであり、それはまさに普段からわたしが感じていることでもあるのです。わたしも思い当たる節がないわけではありませんので、この作品を教訓として慎ましく生きていこうと思いました。


普段は小心者なのに車に乗ると強気になるというマンの性格やトレーラーのキチガイっぷりは大変不愉快でしたが、それを補って余りある面白さを提供してくれる作品でした。

*1:前者は上で書いたことです