「パーマネント野ばら」見たよ


海辺の町にひっそりたたずむ、小さな美容室「パーマネント野ばら」。ここは、一人娘を連れて出戻ったなおこ(菅野美穂)とその母・まさこ(夏木マリ)が切り盛りしている、町に一つのパーマ屋さん。決して幸せとは言い切れない人生を送る町の女たちは、日々ここに集っては、退屈な日常に華を求めるようにおしゃべりを繰り広げている。一方、なおこは高校教師のカシマ(江口洋介)と恋をしている。落ち着いてお互いを優しく想いあっている2人。しかし、その恋にはある秘密が隠されていた――。西原理恵子の同名漫画を菅野美穂主演で実写映画化。

『パーマネント野ばら』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。


20代を過ぎたくらいからなのですが、たまに「幸せって何だろうなー」なんてことを考えることが増えてきました。元々わたしはあまり物事を深く考えない(考えられない)人間なので「幸せが何か?」なんてことを考えるようなタマではありませんし、人生なんてなるようにしかならないと割り切って毎日過ごしています。
よく言えば楽観的、悪く言えば考え無しで毎日を過ごしているわけですが、だからといって幸せになりたくないわけではなくて、例えば映画は観たいときに観たいし、子どもと一緒においしい物を食べながら散歩したいとも思うわけです。そういう欲求はちゃんとありますし、わたしにとっての幸せはこういう日常のささやかな欲求が絶え間なく満たされることなわけです。そういう意味では、今のわたしはとても幸せな状態になんですよねー(えへへ)。


ところが、他の人にこういう話をすると「もっと大きい夢を持った方がいい」とか「幸せってそういう簡単に手に入るものじゃない」なんて話をされたりします。その人が言うのは、同期で一番出世するとか、大きな家を立てて家族で住むとか、そういう大きな夢がかなうことが幸せなんだと言うことらしいのですが、個人的にはそういう状況になったとしても自分は幸せだとは思えません。
そしてこの事例ひとつとってみても幸せって個人個人で全然違うことが分かるわけで、そんな日常の積み重ねが「幸せって何だろうなー」なんてことを考えさせるわけなのです。


さて。本作はアクの強い女性ばかり出てくる作品という印象がとても強いのですが、「人それぞれの幸せ」を描いたすばらしい作品でした。原作は未読でしたので、なおことカシマの展開には驚かされたし非常に面白かったのですが、それよりもむせ返りそうなほどに濃いキャラクターの人たちそれぞれが幸せを追い求めるシークエンス(というかサイドストーリー)がものすごく丁寧に描かれていたのが本当に面白くてよかったし、求める幸せの多様さと類似性がバランスよく描かれていたのもとても興味深かったです。


個人的にはシーンとシーンの合間に挿入されていた海の風景がとても美しかったので、これらのシーンを観るためだけにもう一度観てもいいなと言えるくらい惹かれました。これらのシーンはこの直後のシーンが朝/昼/晩のいずれであるのかをアナウンスする役割を担っているのですが、その役割以上に異様な美しさが目を引くすばらしい映像でした。あとわたしは菅野美穂が大好きなのですが、この作品における彼女の美しい居たたずまいというのは国宝級なのでこちらも必見です。


いつもどおりうまくまとまらないのですが、細かいことを抜きにしてストーリーだけとってみてもうまく構成された物語ですし、非常に楽しい作品であることは保証します。

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