この10日間、山形に行ったりアメリカに行ったりして普段会わない人たちといろいろな話をしたのですが、偶然にもひとつの共通したテーマがありました。それは「働くことに対するスタンス」というトピックでした。頭ではわかっていたことの復習もあれば、そうだったんだと初めて気付くようなこともあってとてもおもしろかったのでここにまとめておこうと思います。
まず、わたしは話をまとめるのがものすごく下手なので最初に今回学んだことを挙げておきます。
以降の文章がグダグダで理解不能であっても、結局言いたいことはこの2つを理解したということだけなのでそのつもりで読んでいただけると嬉しいです。
(学んだこと)
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- 仕事はあくまで人生の一部分でしかない
- 仕事は出来るだけ楽しんだ方がいい
山形でのこと
大学生のときに所属していた研究室の先生が退官されるということで、山形に行ったときのことです。
駅で合流した人たちと会場であるホテルへ向かう途中に、そばを食べにお店に入ったのです。メンバーはS先生と元同じ研究室*15人。適当に注文を終えて雑談をしていると、S先生が「そういえば君たちは最近どのくらい働いてるの?」とわたしたちに質問を投げかけてきました。
そこにいた我々一同はいずれも一般の企業で働いている人ばかりでしたが、S先生からの問いかけに対する答えはまちまちでして、ある人は「9:00-20:00」だったり、ある人は「8:30-22:00」だったりでした。ちなみにわたしは「9:00-19:00」くらいと答えたような気がします。
わたしはみんなの答えを聞きながら「忙しそうな会社で働いている人ばかりなのに意外にハードワークでもないんだな」と感心していたのですが、我々の答えを聞いたS先生が口にしたのは「きみらはPoorやなあ」という答えでした。わたしの感じた感想とS先生のいう言葉のギャップに驚いていると続けて先生はこんな話をしてくれました。
→仕事だけでは無い人生
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- 全力疾走している日本とジョギングのように余裕のあるアメリカ
- 日本人はもしかしたら能力的に劣っているんじゃないかと悲しくなった
- 悔しかったから自分たちも同じような生活を目指して頑張った
- 全力疾走している日本とジョギングのように余裕のあるアメリカ
S先生が言いたかったのは、30年も前のアメリカにすら追いついていない日本*2の労働事情にがっかりしたということであり、それを「Poor」だと表現したのだと思います。30年と言えばかなり昔のように感じるですが、そんな前から既にワーク・ライフ・バランスを実践していた人たちがいる国が世界にあるということにとてもショックを受けたし、何よりも自分自身の労働観の狭さを改めて思い知らされたような気がしました。
もちろん、そういった労働時間という一面的なものさしだけでは測れない違いもあります。例えば雇用が流動的であるとか、失業率が日本の2倍くらいあるとか、問題だってたくさんあるのです。
それでも、仕事以外に何も残らない人生を送ることが果たして幸せなのかと考えるとわたしにはどうしてもそうは思えないですし、特に現代のように終身雇用が崩壊した日本においては余計そう思えてならないのです。
8時間寝て、8時間働いて、8時間を自由に使える生活。
そういったバランスを実現したいと先生の言葉で感じました。
アメリカでのこと
アメリカでのことを書こうと思ったのですが、いろいろと仕事に絡む話もあって書きにくいのでエッセンスだけリストアップします。
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- 仕事は最優先ではないよ
- 仕事が少し遅れている程度では残業なんかしないし、それは生産性でカバーするよ
- でも自分のためになることをやるためだったら少しは残業してもいいかも
- でもでもプライベートで大事な用事があったら即帰るからね
- 専門性をすごく大事にしている
- 大学や大学院を出ているのになぜそのSpecialityを活かさないのか理解出来ないなー
- 進路を決めるときそこまで考えてないの?
- 仕事は楽しくやろう
- つまらないことをずっとやるなんて絶対無理
- 何か嫌なことをやるときは何とか楽しくやれないか考えようぜ
- 仕事は最優先ではないよ
「仕事は楽しむもの」という考え方はすごくいいですね。あとプライベートと仕事が完全に並列か、むしろプライベートが優先される関係にあるのもすごくよいと思いました。プライベートあってこそ働けるという価値観なんでしょうか。
あと、自分のもつ専門性をすごく大事にしていて多くの人がそれを自身のアイデンティティのひとつとして示してくれました。「わたしはこれが出来る人なんだ」ということをつよく意識しているんだなと。
なぜそうなんだろう?と考えて見たのですが、日本では多くの企業が就職に際して専門性よりも新卒であること自体が優遇していますが、海外では何が出来るのかを重視している点が専門性を意識させる下地になっているんだろうと感じました。雇用自体が流動的であるために専門性がなければいけないというのもすごく大事な要素だと思います。
あと、一番びっくりしたのはレジが2つしかないお店で15人ぐらい並んでいて「早くしろよー」的な声も飛んでいた(具体的になんていってたのか忘れましたが、並んでいたおっちゃんが怒って叫んでいました)のですが、一人が業務時間が終わったらしくさっさとレジを閉めて帰ってしまったのです。日本だったらレジを増やすことはしても減らすことはしないだろうなあ...と思ったのですが、こういう割り切りのよさも個人的にはすごく爽快に感じました。
まとめ
わたしは有給消化率はほぼ毎年100%を記録していて、年間をとおして残業もさほどしませんので、自分自身は長時間労働を推奨する風潮とは相反する人間だと思っていました。でも実際にこうやっていろいろな人に会って話を聞くと、わたし自身の中にはまだまだ古い労働価値観が存在していることに向き合わされました。
仕事には人生の少なくない時間を費やすわけですから、それに対する自分なりのスタンスというものをここらでひとつしっかり決めたいなと感じています。
(追記)
とか書いていたらこんな記事が出ていました。どんなこともいいことばかりじゃないですよね。