好奇心は猫をも殺す

今日は年に一度の人間ドックの日でした。
30歳になる年から受け始めた人間ドックも今年で3回目となりましたが、わずか3回目にして生まれて初めてドックを受けたときのような緊張感は既になくなり、もはやペナントレースの順位が決定した後の消化試合のようなどうでもよいイベントに成り下がっていることにわたしは気付いてしまったのです。


これはいけない...。


何事も惰性でやるようになってしまっては終わりだと思ったわたしは、何か新しい検査に挑戦してみようと思い立ち、申し込みに先立ってオプション検査を眺めてみました。
過去2回の検査ではオプション検査にはまったく興味を持っていなかったので知らなかったのですが、改めて見てみるといろんな検査があることにおどろかされます。前立腺がん検査だとか胸部CT検査、骨粗しょう症検査や内臓脂肪測定なんてのもあって、眺めているだけでおもしろいのです。


そんな中「経口胃内視鏡検査」という文字に目がとまったのですが、説明文を読んでみるとどうやら胃カメラのことを指しているようでした。そういえばこの検査を見るまではすっかり忘れていたのですが、去年の10月くらいに食後必ず胃がムカムカして大変だったことを思い出した私はぜひこの機会に自分の胃の中を見てみようと決心しました。さらに、わたしはバリウムが大嫌いなのでそれを飲まなくてもいいと思えば「むしろ胃カメラやりたい!!」と殊更に気分が盛りあがってきました。
オプション検査の料金は6300円と安くはなかったのですが、思い切って申し込んでみました。


さて。検査日である今日は普段よりも30分以上早く自宅を出て「とちぎ健康の森」へ行きました。
いくつかの手続きを終えてから胃カメラ以外の検査を終えたところで、胃カメラに関する説明を受けました。

    • 事前準備は4段階で行う
      1. 胃の中を洗浄する薬を飲む
      2. 胃の緊張を取るために肩に注射をする
      3. ゼリー状の麻酔を使ってのどに麻酔をかける
      4. スプレーで喉に麻酔をかける(2回)
    • 検査は事前準備も併せて20〜30分程度
    • 胃を覗いて何か検査したい部分が見つかればその場で生体の一部を採取する(生検)
    • 必ず目は開けて検査を受けること
    • 検査後1時間は飲食だけでなくうがいも禁止


正直ここに来るまでは「胃カメラなんて余裕でしょ」と思っていたのですが、麻酔の説明のくだりでかなりブルーになってしまいました。注射も嫌だし、麻酔を合計3回かけるというのも超不安材料です。どんだけ念入りなんだよ...。怖いよ!!
ちなみに「目を開けて検査を受けること」というのは、目をつぶってしまうと体全体が硬直してうまくカメラが入っていかないために目は開けて天井なり画面なり見ていてくれというお話でした。カメラが入らないって...。これも怖いよ。


とビビッてしまったわけですが、そうは言ってもいまさら逃げ出すわけにもいかず、とりあえず事前準備が始まってしまいました。
数mlのほのかに甘い薬を飲んだ後は、肩にブスリと注射針を刺され、その後口の奥の方にゼリー状の麻酔を注入され3分間待機したら口の中がしびれて感覚が無くなっていき、スプレーの麻酔で止めをさされたときにはもはや後悔の二文字しか頭の中にはありませんでした。
これだったら素直にバリウムを飲んどけば良かった....。


今にも逃げ出しそうな気配を察したのか、わたしはすぐにカメラのある部屋へと連れて行かれ、先生との挨拶もそこそこに口からものすごい長いファイバーを突っ込まれました。カメラにうつる自分の喉、食道。まさか自分の体内をこうやってモニター越しにでも見る日がくるとは思っていませんでした。
麻酔が効いているためか、ほとんど苦しくなくて「あー、これだったら大丈夫かも」と思ったのは最初の10秒ほどだけでして、カメラが食道の奥へと進もうというあたりから苦しくて頭が働かなくなってしまい、もう早く終わってくれとそればかりを願っていました。苦しいなんてレベルじゃなくて、生命の危機レベルですよ、これは。
ところが、肝心の先生はというと、さっさと終わらせて欲しいと懇願したいくらいに参っているわたしの気持ちなど気付くそぶりも見せずに「ここが胃ですよ。ぱっと見た感じはきれいそうですねえ。」なんて褒めてくれたり、「胃の入り口の筋肉が弱いから胃酸が逆流しやすいんですよねえ、これだと」なんて言いながら入り口のところでカメラをヒョコヒョコ動かしてわたしの体力を磨耗させたりとなかなかに大変な10分間でした。
そして他人に生殺与奪権を握られるのって本当に大変だと思い知らされました。


(今日の教訓) 好奇心は猫をも殺す


結局、胃の状態は何も問題なさそうですねということで、検査結果自体には非常に満足出来ました。


と、まあ胃カメラは散々でしたが、今回は検査というか測定結果が非常によくて、体重は2kg落ちたり肺活量は前回より200ml上がって4600mlを超えたり、視力が1.0から1.5に回復していてびっくりしました。特に視力なんて最近はかなり下がっているような実感があったのですが、まさかよくなっているとは思ってもいませんでした....。


ただ、身長だけは何回計ってもらっても3mm縮んでいて涙が止まりませんでした。もう老化が始まったな。


(関連リンク)