「女王様と私」読んだよ

真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。でも「ひきこもり」ってやつじゃない。週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で出かけてる。今日も可愛い妹と楽しいデートのはずだった。あの「女王様」に出逢うまでは…。数馬にとって、彼女との出逢いがめくるめく悪夢への第一歩だったのだ。―全く先が読めない展開。個性的で謎めいた登場人物。数慄的リーダビリティが脳を刺激する、未曾有の衝撃サスペンス。

http://www.amazon.co.jp/dp/4043595069

意味ありげなタイトルや妙に気になる表紙に惹かれて手に取ったのですが、本当にひどい作品でした。ものの見事に最初から最後までまったく面白くなくて、そんなどうしようもない内容なのに480ページもあったために読み終えるのに一週間もかかってしまいました。
これだけ読み手をなめた本には初めて出会いました。読んだという事実以外はすっきり忘れてしまってもかまわないので、本を読んでいた時間を返して欲しいとさえ思います。その時間で映画二本くらい観れそうです。


わたしはただつまらないだけであれば、ここまでぼろくそに言うことはないのですが、この本はつまらないだけではなくオチが最低なのです。著者は読者の期待に応える必要はありませんが、それでも最低限守るべきフォーマットというかルールがあるとわたしは思っていてそれすら守られていないことがとても不愉快なのです。
F1でコースを守らずにショートカットを繰り返してラップタイムを更新するような、サッカーで両手でボールを抱えて走ってゴールに投げ入れてハットトリックをするようなそんなむなしさを本書からは感じるのです。


会話が読みにくいとか設定が気持ち悪いなんてのはどうでもいいんです。そういう本があったっていいし、それは読み手が順応すべきことであって書き手がそこまで気を遣う必要はない思うのですが、この結末だけは許せない。
感想を書いているうちにまた腹が立ってきたのでこれくらいにしておきます。


間違っても手に取ることのないように、この表紙だけはぜひ覚えておいてください。


(追記)
逆に読みたくなった人がいるとまずいので、詳しい内容を「続きを読む」に隠して書きます。




いったいどういう話なのか簡単にまとめます。
ざっくりネタバレしてしまうと、44歳ひきこもり兼ロリコン兼いつも手元にある人形*1と脳内会話を繰り広げてしまうようなおっさんが、日暮里にいる小学生の女の子達を見ていたら突然ある女の子に声をかけられたのですがその子がものすごい乱暴者で罵倒されたり蹴られたりと散々な目にあわせられるのですが、なぜかその子においしいご飯をおごることを強制されていろんな場所に一緒にご飯を食べに行ったりすることになるのですが、そうやって出来た主従関係にお互いが慣れつつあったある日、その女の子の周りで起きたある出来事をきっかけにしてその女の子がものすごく普通のやさしい女の子になっちゃって、その子のことをかわいそうに思ったひきこもりのおっさんがその子を守るためにいろいろと調査を始めた矢先になぜか逮捕されてしまって、でもおっさんはこの世界では4つだけなんでも願いがかなえられるのでとりあえず留置所からは逃出して真犯人を探していたら、脳内会話をしていた妹の人形が人間になったり(女子高生)、真犯人だと思っていた女の子が殺されてしまったと思ったら実は同じ顔の女の子がもう一人いて、その同じ顔の女の子は殺された女の子の顔に似せて整形した女の子でその子が真犯人でしたー、と思ったら何と全部このおっさんの妄想でして、↑のような話は事実として何もありませんでしたという話です。


この文章で大事なのは「全部このおっさんの妄想でして、↑のような話は事実として何もありませんでした」という部分です。


もうぶっちゃけ読んだわたしですらドン引きするくらいよくわからない展開な上に、このまとめが適当すぎるのを差し引いても本当に意味がわからない話なんですよ。そして驚きの夢オチならぬ、妄想オチ。
読んだ時間を返して欲しいというのは本当の気持ちでして、もう本当に心底そう思います。今年一番の嫌がらせといっても過言ではないほど、ものすごく不愉快な気分になりました。
途中である程度オチには見当がついたというか、もうそのころには話が破綻していたのでそうするしかないということはわかってたんですけどねえ。一度読み始めるととりあえず最後までは読まないとと思うわけで、それが裏目に出てしまいました。途中で窓からぶん投げてしまえばよかったです。

*1:本人の語りによるとこの人形は妹だそうです