山吹摩耶(小雪)は、突然、故郷に帰ってきた。どう稼いだのか、彼女は莫大な財を築いている。高校卒業以来何も変わらないこの町で、同級生たちと再会する摩耶。彼らの“夢”や“希望”の実現のために、次々と「わたし、出すわ」と大金をあげてしまうのだった。友人たちは、勘ぐりながらも、つい手を出してその大金を受け取ってしまうのだが…。果たして、摩耶の意図とは? 彼らの夢の結末は? 『間宮兄弟』の森田芳光監督が13年ぶりにオリジナル脚本を書き下ろした“お金”にまつわるヒューマン・ドラマ。
『わたし出すわ』作品情報 | cinemacafe.net
(注意) 作品の内容に触れる部分がたくさんありますので未見の方はご注意ください
TOHOシネマズ宇都宮にて。
映画のタイトルをもじったタイトルのAVを"パロディAV"と呼ぶのですが、そのタイトルがまたいい具合にバカっぽくておもしろいものが多く、そのセンスのよさに脱帽してしまいます。
何となく記憶にあったものを検索して調べてみました。
原作タイトル(邦題) | パロディタイトル |
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タイタニック | パイパニック |
バック・トゥ・ザ・フューチャー | ファック・トゥ・ザ・フューチャー |
ハムナプトラ2/黄金のピラミッド | ハメナプトラ 黄金のフェラエッド |
パール・ハーバー | パール・マーラー |
さて。この「わたし出すわ」という作品のタイトルを初めて見たときに、てっきり何かの映画のパロディAV作品なのかと思い、つい期待してしまいました。「えー、なになに?(ニヤニヤ)」と言ワクワクしながら公式サイトを開いてみたら、まーとても普通の映画のようでしてがっかりしてしまいました。
勝手に期待して勝手に落ち込んだだけなのでこれは全面的にわたしが悪いことで間違いないのですが、こんなに意味深なタイトルなのにやけにキャストが豪華なところと、映画館に貼ってあったポスターを見たら地味な格好をした小雪が両手を差し出しているだけというものすごくシンプルで飾り気のないものでタイトルの過激さ*1とのギャップがとても気になったので観に行ってみました*2。
正直に言うと、タイトルの話題だけでも1エントリー分のネタになるかも的な浅はかな動機で観に行ったわけですが、予想に反してとてもおもしろい作品でした。わたしはこの作品すごく好きだなあ。今年観た邦画の中でもかなり上位に入りそうなくらい気に入りました。
わたし好きだわ。
本作は、「お金の使い方」や「幸せとは何か」という部分が主題となっていて、お金があるからといって幸せになれるわけじゃないよという話が繰り広げられるのですが、率直に言ってその話にはさほど関心は持てませんでした。お金で人生が変わるなんていうテーマはありふれているし、摩耶がどうやってお金を稼いでいたのかとか、みんなお金を簡単に受け取り過ぎでは?といった部分に踏み込んだ描写がなかったことであまり感じるものがなかったのです。
それよりもわたしが強烈に惹かれたのは、30歳を過ぎたであろう摩耶が突如地元に戻ってくるというシチュエーションです。
人知れず帰ってきた摩耶が地元に残っている友達ひとりひとりを訪ね歩く。東京へ行くまではその土地にいることが日常であった摩耶も、長い月日が経った今となっては逆に帰ってくることが非日常へと変わってしまっていて友達と会う度にその意識・感覚の差を感じてしまう。
このような、地元を出て行った人間と残った人間の間に流れる違和感がものすごく濃密に表現されていたのが印象的で本当にすばらしい作品でした。
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