「強運の持ち主」読んだよ

強運の持ち主 (文春文庫)

強運の持ち主 (文春文庫)

元OLの売れっ子占い師、ルイーズ吉田は大忙し! ある日、物事の終末が見えるという大学生の武田君が現れる。ルイーズにもおわりの兆候が見えると言い出して…。表題作ほか3編を収録した連作短編集。

http://www.amazon.co.jp/dp/4163249001


朝のニュース番組の終わり際や雑誌の片隅には必ずと言っていいほど血液型占いや星座占いがありますし、本屋に行けばその手の占い本が1コーナーを占拠しているところも珍しくありません。昨年の売れた本のベスト10には海外の事情は分かりませんが、日本では占いというものが日常に浸透していてありふれた存在になっています。


ただ、そのような占いを気にしている人たちの全員が占いというものを信じて心の拠り所にしているのかといえば、たぶん全然そんなことはないような気がするのです。あくまで「占いの結果がよかったから気分がいい」とか「答えは決まっているけれどあと一押しほしい」とかそんな程度の役割しか期待していない人がほとんどではないのかなとわたしは感じています。
そして、本書のおもしろいところは多くの人が何となく感じているであろう「占い」の本質について明文化したところにあると感じました。占いを強く信じている人には不愉快な物語かも知れませんが、わたしの占いに対する認識をとてもよく表現していて読んでいてとても心地よかったです。


ちなみにわたしはダイエーに買い物をしに行くくだりの話がとても好きで、繰り返し読み直してしまいました。
わたしは学生時代にマコ*1と同棲をしていたのですが、そのときの情景を思い浮かべさせられるような懐かしさを感じました。

*1: