「レイチェルの結婚」見たよ


姉・レイチェル(ローズマリー・デウィット)の結婚式に参加するため、キム(アン・ハサウェイ)を始めとする、多くの友人たちや親戚がご馳走と音楽と愛にあふれた週末を過ごそうと集まる。何かと問題を起こすキムは、痛烈な皮肉をもって、長い間くすぶり続けてきた家族の緊張関係を触発! バックマン家の人々は、長年にわたる軋轢、そして問題と向きあうことになる。『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ主演、ある家族の葛藤や真実を描く人間ドラマ。

『レイチェルの結婚』作品情報 | cinemacafe.net

早稲田松竹にて。


アン・ハサウェイ目当てで観に行ったのですが、そんなことは頭の片隅に追いやられてしまうほど作品の世界にのめりこんでしまいました。この没入ぶりは過去に例がないほどであり、最後の方ではもはやアン・ハサウェイが出ていることすら忘れてしまっていました。彼女の役作りの上手さや演出の上手さもあるのでしょうが、作品全体がかもし出す臨場感はただならないレベルに達していてそのことにただただ感動させられました。
私自身もレイチェルの結婚式の準備を行って、祝う立場で参加しているようなそんな気分に陥ってしまうほどでした。手持ちのカメラで撮っているように感じられる映像のせいかも知れませんが、それが効果的に感じられました。すごくよかったです。


本作の中で強烈に覚えているシーンがひとつあります。
結婚式の前夜祭で親戚や友達が集まってレイチェルの結婚をお祝いするのですが、そこで他の出席者に加わってキムがお祝いの言葉を述べるというシーンがあります。誰もがレイチェルに向けてお祝いの言葉を投げるのですが、キムはなぜかこれまでの彼女自身が薬物に手を染めてしまったことや苦境について話始め、周囲はそれに対して「お前はこのめでたい場で何を言ってるんだ」と言わんばかりの冷ややかな視線を送ります。その凍りついた空気にめげず、キムは自分の話を続け、そしてそれまでの行為の謝罪とレイチェルへのお祝いの言葉を述べて彼女のスピーチを終えるのですが、もうこのシーンを観ただけでもう号泣...。
たとえ姉の結婚式であっても自分を前面に出さずにはいられないキムの幼い部分と、彼女なりに祝辞を述べたいという気持ちが伝わってきて堰を切ったように涙があふれてきました。
感動したとかそういうんじゃなくて、キムの精一杯さにはグッとくると同時に、そんなキムに対する周囲の冷たさにはもういたたまれない気持ちでいっぱいだったんですよね...。そんな心境だったので、キムのスピーチが終わったときには立ち上がって拍手をしたくなってしまいました。


曲がったことが嫌いで正しく立ち回るレイチェルと、自分の感情・欲求に素直に振舞うキム。
性別は同じだし、毎日同じご飯を食べて同じ場所で寝起きして成長したはずなのに、気付けばまったく違う人間になってしまうことも不思議ですが、でも兄弟・姉妹だって結局は他人なんだよなというのはすごく分かるし、家族という枠でくくられる者同士だからこそ、この分かりあえなさには絶望してしまいます。


家族との関わり方っていったいどうあるべきなんですかね...。

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