「サンシャイン・クリーニング」見たよ


学生時代はアイドルだったが、いまはシングルマザーでかつての恋人と不倫中の姉・ローズ(エイミー・アダムス)。一方、妹のノラ(エミリー・ブラント)は、いまだに父親と同居、バイト先で逆ギレしてはクビに。彼女たちの父親・ジョー(アラン・アーキン)はお菓子の訪問販売で一攫千金を狙い、ローズの息子は何でもなめるクセがエスカレートし、ついには小学校を退学に…。何をやってもうまくいかない姉妹にある日、大金が稼げるという仕事の話が舞い込む。それは事件現場をクリーニングする、ちょっと危ない“清掃業”。右も左も分からない彼女たちだったが、やがてこのビジネスで2人は家族の幸せをつかみかける。だがその矢先、ある事件が起きる――。死体現場の清掃業という一風変わったビジネスをとある理由で始めることになった姉妹と、その家族を軸にした、ビタースウィートで心温まる物語。

『サンシャイン・クリーニング』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズシャンテにて。
本作はリトル・ミス・サンシャインのスタッフが再集結して撮った作品ということでとても気になっていたのですが、念願かなってやっと観ることが出来ました。リトル・ミス・サンシャインは昨年DVDで観た作品の中では1,2を争うくらいよかった作品でしたので*1、これを見逃さずに済んで一安心しました。
よかったよかった。


本作はリトル・ミス・サンシャインのような「わけも分からないうちに涙が止められなくなるくらい強烈に感情を揺さぶる作品」ではありませんが、でも負けっぱなしの人生を歩むローズが子どもの将来を考えたことをきっかけに新しい生きる道を模索するところや、徐々に新しい生き方になじんでいく様子、そして挫折と再起という人生の縮図のような過程を見事に描いていて心に響く良作でした。


ちなみに、このローズを演じていたのは最近よく見かける気がするエイミー・アダムスなのですが、「魔法にかけられて」や「ダウト」といった過去の出演作品に比べると彼女の魅力が実感できる役どころでした。
彼女はその顔立ちの端正さからなのか育ちのよい人物を演じることが多いのですが、こういった平均的かそれ以下の生活を送っている普通の人を演じた時にも生活観を感じさせる立ち振る舞いが非常に上手であるという事実にとても感心させられました。
高校時代はチアリーダーとして人気者だったローズが、当時付き合っていたアメフト選手のマックにあっさりと振られてしまった上に、彼の子をシングルマザーとして育てながらある不倫を続けるという非常に切ない人生を送る羽目になっているのですが、その悲壮感の漂わせ方が露骨ではなく、自然ににじみ出るように描かれる彼女の立ち位置の惨めさやそれに悩む彼女の姿がリアルでものすごくグッときました。


そしてわたしがもっとも気に入ったのは、彼女がいくつかのシーンで見せた覚悟を決める瞬間のキッと口を結んだ表情です。これがすごくよくてこの表情を忘れないようにしっかりと目に焼き付けてきました。


家族の絆の崩壊と再生。
本当に大事なものは絶対に壊したくないとその形にしがみついてしまいがちですが、中途半端に形だけを残すよりも一度全壊させたほうがいいときもあるということを改めて理解出来たように感じます。何となく「トウキョウソナタ」を思い出しました。


[追記]
リトル・ミス・サンシャインのDVDを鑑賞したときの感想はこちら



公式サイトはこちら

*1:ちなみにこれと1,2を争っているのは「さよならいつかわかること」