ペネロピ


裕福な家庭に生まれながら、先祖が魔女にかけられた呪いのせいで、豚の鼻を持って生まれてきたペネロピ(クリスティーナ・リッチ)。両親は呪いを解こうと何とか娘を結婚させようとするが、訪れるのは財産を狙った男たちばかりで、彼らもペネロピの姿を見ると、逃げていくばかり。そんな中、一人だけペネロピの姿を見ても逃げなかったマックス(ジェームズ・マカヴォイ)と出会うが、またも裏切られてしまう。傷心のペネロピは、それをきっかけとして自分らしく生きていくことを決意し、街へと飛び出した――。

『ペネロピ』作品情報 | cinemacafe.net

[注意]
作品の内容に触れている箇所があるので未見の人はご注意ください。


新文芸坐にて。
先祖代々かけられていた呪いのせいで、豚鼻をもって生まれてしまったひとりの女性と彼女を取り巻く人々の物語。
作品のタイトルや予告を観た時の印象から何となくファンタジーチックなストーリーを想像していたのですが、世界観としてはたしかにそんな様相を見せつつも、でもストーリー自体は現実的な展開を繰り広げていてちょっと意外な印象を受けました。
このファンタジーと現実、それぞれのブレンド具合がとても絶妙でして、これってもしかしたら本当にあった話だったりして...なんていう雰囲気もうまくかもし出していて観ていてとても楽しい気分になりました。特にペネロピの部屋の装飾や彼女の服装はどれもものすごくおしゃれで、観ているだけで気分が高揚してきます。そしてタイトルにもなっている主人公の名前、「ペネロピ」という言葉の響きも癖になりそうで、思い出しては口に出したり頭の中で反芻して楽しんでいます。


それにしてもとても驚かされたのはかわいい見た目からはまったく予想出来なかった強烈なストーリー展開です。
豚の鼻をもっていることで世間から笑いものになることを恐れた両親が死んだことにしてしまうというのもかなりぶっ飛んだ設定ですが、さらにその後も完全に隔離されて大きくなって年頃になったらお見合いで結婚相手を探すというのもかなり悲惨な設定としか思えません。普通だったらこの設定であればペネロピにはかなり悲壮感漂うはずですし、実際にお見合い相手がことごとく逃げ出してしまう様子をみたペネロピはとても傷つくのですが、この作品ではなぜかそれも含めて笑いに転化されます。ペネロピの顔を見て逃げ出したお見合い相手が窓を破って飛び出す様はおかしいし、その後やけ食いをするペネロピの姿もかわいくてとても落ち着きます。そこに悲壮感は一切見当たらないのです。
その理由について考えてみたのですが、やはりペネロピ自身があまり悲観的な様子を見せないこと、前向きな性格であることが救いになっていて、結果としてその悲惨さを安心して笑えるフレームワークが出来上がっているような印象を受けました。
結果として両親の心配は杞憂だったわけですが、その心配の源泉こそが呪いを生み出す源泉となっていたというのはなかなか面白いなと感じました。


ペネロピを演じたクリスティーナ・リッチはものすごくかわいかったのですが、個人的にはそれよりもマカヴォイがものすごくよかった。前出演作の「ウォンテッド」でもそうでしたが、彼は軟弱でダメっぽい雰囲気の役がものすごくはまるのです。
毎日徹夜でギャンブルにあけくれるダメな優男なんて、まさに彼のためにある役じゃないかと思うほどもう完璧に役にはまっていましてとてもよかったです。彼の出演作をもっと観てみたいので、最近見逃してしまった「つぐない」もぜひ観てみようと思います。


昨年の4月に見逃して以来どうしても観る機会に恵まれず、そろそろ諦めてDVDで観ようかどうか悩んでいた矢先の再上映だったのでとても嬉しかったです。
これからも、観たい作品があってもDVDで妥協せずに気長に再上映を待つことにします。

ペネロピ [DVD]

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とりあえず映画館で観たし、とても気に入ったのでDVDを買おうかと思います。


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