ティンカー・ベル


ネバーランドにある妖精の谷“ピクシー・ホロウ”。春が来て、花が開き、鳥のヒナが初めて飛び立つ――そんな自然界に起こる“素晴らしいこと”は、全て特別な<才能>を持った妖精たちの仕事。そしてまた一人、とびきりかわいらしい妖精が誕生した。その名前は、ティンカー・ベル。自分がどんな<才能>を持って生まれてきたのか、彼女はまだ知らない。そして、人間の世界の運命が、やがて自分の小さな手に委ねられることも…。『ピーター・パン』で知られる、世界で最も愛されている妖精、ティンカー・ベルが誕生して55年。誰も知らなかったティンカー・ベルの秘密が4部作となって、いま明かされる!

『ティンカー・ベル』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
2009年最初に観る映画がこれだというのは意外でしたが、昨年の最後がウォーリーだったことを考えれば、同じディズニー映画であるこの作品で一年が始まるというのも何かの縁のような気もします。なんて、近くで上映している作品の中で観たいと思う作品がこれしかなかったというだけなんですけどね...。
配給が同じだし公開時期が近いこともあって、WALL・E/ウォーリーと比べてしまうのですがティンカー・ベルもものすごくよかったです。昨年の個人的ベスト15に入れたウォーリーと比べても遜色ないほどストーリーも映像もすばらしい作品でした。最近あまりに多くの作品をよかったよかったと褒めているので、彦麻呂のいうおいしいみたいにほめ言葉の安売りをしているようでとても気が引けるのですが、それでもいいものはいいと声高に言いたくてたまりませんしそもそもこの作品を褒めずにはいられません。
妖精たちの住む「ピクシー・ホロウ」や妖精たちが飛び交う映像はとても美しく、一緒に観に行ったハホが興奮で声をあげるほどよかったし、子どもにも分かりやすいように見えてじつはかなり重い意味の込められたストーリーには非常にぐっと来ました。


それとこの作品の日本語版のエンディングの歌を歌っているのが湯川潮音なのですが、ひさしぶりに彼女の声を聴いたのですがもうとてもよかった。「リンダ リンダ リンダ」で初めて聴いた彼女の容姿に似合わぬものすごい声量はさらに磨きがかかっていて、それを聞きながらのエンドロールはものすごくよかったです。作中の音楽もよかっただけに、アニメーション映画では初めてのサントラ購入を考えてしまいます。


ティンカー・ベル

ティンカー・ベル


映像と音楽、そして非常に練られたストーリーとまさに非の打ち所のない作品でした。
間口が広く奥深い。ウォーリーは観終わった後に手がつなぎたくなるのでぜひ好きな人とで観に行ってほしいのですが、こちらは仕事やその適正に悩む若い人たちに見てほしいなと思いました。もちろんそれ以外の人にも面白いのでおすすめです。


以下、作品の内容に触れる部分がありますのでご注意ください。




この作品は、主人公であるティンカー・ベルが、自身に与えられた役割であるものづくりという裏方仕事と、自分がやりたいと強く願っているいるメインランド*1で季節を切り替えるという仕事に対する気持ちのギャップに悩み、その気持ち/考えに折り合いを付けるということがひとつのテーマになっています。
これは「本当の自分探し」とか「やりがいのある仕事探し」ということに対するはっきりとした批判であり、このようなことについて考えたことのある人であればティンカー・ベルの心境/考え/行動の変化には何か感じるところがあるのではないかと思います。もちろん、立場や思想、そして観た人の年齢などによってどのように受け止めるのかは大きく変わってくるのでしょうし、このストーリー自体にはよいも悪いもないただのお話ではあるのですが、これを観てさてどうしようかと考えるひとつのきっかけにはなると断言出来ます。仕事に対して具体的なイメージをもっていない若い人の方がより多くのことを感じられるのではないかと思います。
# あとは働き始めて10年も経っていないような人にもよいと思います



ちなみにこちらにもハホを一緒に連れて行ったのですが、感想を聞いたらかなりおもしろかったようで続きを観に来たいと言っていました。子どもにはこちらの方が受けがよいようです。というわけで、小さな子どもがいる方にはこちらをおすすめしておきます。

公式サイトはこちら

*1:妖精がすんでいるのがピクシー・ホロウと呼ばれる場所であるに対して、実際に人間や自然が生息している地域をメインランドと呼んでいるようです