ラースと、その彼女


雪が降り積もる小さい田舎町。そこに暮らすラース(ライアン・ゴズリング)は、人一倍優しくて純粋な心を持つが、極端にシャイで女の人と話すのが苦手。町の人々は、26歳のラースにずっと彼女がいないことを心配していた。そんなある日、彼に人生で初めてのガールフレンドが出来た。だが、それは等身大の人形・ビアンカだった! しかし、兄夫婦をはじめ、街の人たちは驚きながらも彼を傷つけないように、どうにかビアンカを受け入れようとする。そして、本当に彼女を愛しているラースの様子を見るうちに、ビアンカの存在が次第にみんなの心を癒していく…。そして、ラースにもある変化が訪れる――。『君に読む物語』のライアン・ゴズリング主演で贈る、心温まるリアル・ファンタジー。第80回アカデミー賞脚本賞ノミネート作品。

『ラースと、その彼女』作品情報 | cinemacafe.net

シネクイントにて。
ものすごいシャイな青年が生まれて初めてのガールフレンドを連れてきたので家族全員で喜んでたら彼女はリアルドール*1でしたという、彼の家族にしてみたらまったくシャレにならないストーリーなのですが予想していた以上にものすごくよかったです。ラースの奇行とも言える行動にはものすごく笑ってしまったし、周囲の人たちの暖かさにものすごくグッときて思わず涙がこみあげてしまいました。見終わってしばらく考えてみたのですが、もしかしたら今年一番の作品かも知れないとさえ思っています。あまりに圧倒的によくて今年はこれに並べる作品には出会えないと思っていたJUNOとあっさり肩を並べてしまうほど魅力あふれる作品でした。近くで観られる人は絶対に観るべきです。チョーお奨め。


まず何より先に語るべきすばらしかった点はラースという人物の描き方です。
優しいうえに甘いマスク、ともてる要素がまったくないではないのにものすごいシャイで家族以外の人(特に女性)とはほとんど話せないラース。キュートなマーゴ(ケリ・ガーナー)から言い寄られてもまったく取り合わず、そそくさと逃げ出してしまう始末。ラースは優しいだけのどうしようもない奴なのです。
そんな彼がリアルドールを彼女として連れてくるわけですから周囲が動揺するのも無理がないわけで、このあたりの周りの人たちの反応というものは非常に生々しくて思わず笑ってしまいます。


そして、ここからがこの作品のすばらしいところなのですが、そんなラースに対してつらく当たるのではなくあくまで彼にあわせてやりたいようにやらせてあげるのです。これがものすごくよかった。皆がビアンカ(リアルドールに付けられた名前)に対してあたかも人間であるかのように接している様子を見ているだけでものすごいグッとくるし、そのふれあいを見ているだけで本当にビアンカが生きているような錯覚を覚えてしまうのです。そんな周囲の優しさに触れたことでラースの思考が徐々に変わっていくそのわずかな変化が彼の表情や行動から感じられました。


ちなみにわたしが一番好きなシーンはマーゴのテディベアに心臓マッサージと人工呼吸をして蘇生措置をするシーンです。あのシーンの暖かさというかジンワリ感は異常です。もうありえないほど暖かい気持ちになりました。今思い出してもニヤニヤしてしまうくらい好きだなあ...。すごくよかったです。


あまりの良さに上映時間が30分ほどに感じられるほどでした。2時間も観ていたなんて信じられない気分のまま映画館を後にしました。
絶対にもう一度観たいです!!

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*1:俗名だとダッチワイフと呼ばれているアレです