親になるということ

昨日の寝る前に、月曜日に観た「さよなら。いつかわかること」という映画について思い返していました。
前の感想にも書きましたが、この作品は「親になることの意味」を問うてくるようなそんな作品でした。


主人公であるスタンレーは妻の訃報を知り、あまりにショックを受けたせいで連絡もせずに仕事を休んでしまうほど落ち込むのですが、でも子どもたちを目の前にした時にはそんな自分の感情は横に置いておき、子どもたちにこの事実をどう伝えるのかというただその一点に腐心しはじめるのです。
幼い子どものことを気遣うことは一見当り前のことのように感じられるのですが、でも果たして本当にそれほど簡単なことなのでしょうか?
大事な家族を失った自分自身のつらさをひとまずおいておくことや、その状態を保ちながら子どもたちにちゃんと言い聞かせることの大変さは少し想像しただけでも気が滅入ってきます。この作品を観て強く感じたのは、このような「親になることで必要とされるようになる利他的な人間性獲得の難しさ」です。世の中には親になることを不安に感じる人は多いのではないかと思いますし、実際わたしもそうでした。人一人を社会で生きていけるようになるまで育てることへの不安、そしてそもそも自分が人を育てるに値する人間なのかどうかという不安がどうしても払拭出来ませんでした。


じゃあ、この作品を観てその不安が助長されたのかというと答えはNOです。自分の不安を肯定してもらったようなそんな安心感を得ました。
そう思えた理由はとても簡単で、スタンレーが自身の行動をもってその道を指し示してくれたのです。
どんなに大変で慣れなくてうまくできないことばかりでも、それでも出来ることから少しずつやっていけばよいのだと、この作品を観てそう思えました。改めて考えると、親になることだけではなくて何事もすべてそうなのかも知れません。出来ないことを嘆くのではなくて出来ることから始めることが一番大事なんだなと。書いてみると本当に当たり前すぎるくらい当たり前なんだけどなかなか出来ないんだよなあ...。


そういう意味では原題である「Grace is gone」よりは邦題の「さよなら。いつかわかること」という方がすごく好きだし、いいよなあと思います。


話を戻しますが、この作品は親になることや結婚することが不安な人にぜひ観て欲しい作品だと思い、改めて感想をまとめました。


さよなら。いつかわかること [DVD]

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