特命係長 只野仁 最後の劇場版


電王堂が社運をかけたイベントのイメージキャラクターに選ばれた人気タレント・シルビア(秋山莉奈)の元に“暗黒王子”と名乗る者から誘拐予告が届いた。電王堂の会長・黒川(梅宮辰夫)の命令により、只野(高橋克典)はシルビアの警護の任務を下された。東京・大阪・福岡を舞台に命がけで任務を遂行する只野だったが、背後には巨大な闇が…。果たして、これが只野にとって最後の特命となってしまうのか!? 高橋克典主演の人気ドラマ「特命係長只野仁」がスクリーンに登場。

『特命係長 只野仁 最後の劇場版』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
テレビドラマの方は数回観た事がある程度でしたが、破天荒でお約束が多い展開はB級っぽさ満載でして、放送していた時間枠にふさわしいといえばまったくもってそのとおりなのですがこれが意外にものすごく面白いのです。バカなノリで突っ走って笑いをとるだけの作品ではなく、会社で働いて出世を目指すという一見当たり前にも思えることに対して真正面から問題提起しているようなそんな真剣さもこの作品からは感じられました。


そんなわけで腰をすえて2時間観てみたいと思って映画館に足を運んでみましたが、観ている時間があっという間に感じられるほど楽しい作品でした。これであれば映画館じゃなくてテレビの2時間枠でもいいんじゃないかという意見も多いようですが、映画館の迫力ある映像/音声の恩恵を受けられるような作品に仕上がっています。
ただし、基本路線はまったく変わらずでしてこの点についてはテレビ版のファンの人は安心してよいと思います。それと、テレビ版を観た事のない人でもちゃんとついていけるような工夫もされていてそんな人でも問題なく楽しめる作品になっています。映画版のみの登場人物を多くしている点や、それとなく説明が織り込まれているのは非常に親切設計であり、きっとテレビ版のファン以外にも楽しんでもらいたいという意識の表れだと感じました。このあたりは今年前期に大ヒットとした「相棒」での成果や教訓をうまく組み入れているのではないでしょうか。わたしは熱心にテレビ版を見ていたわけではなかったのでよい構成だと思いました。


この作品を観終わって、わたしは2つのことを考えさせられました。
ひとつはプライドとは何かということであり、もうひとつは、高橋克典永井大の間にはなぜこれほどの差が感じられるのかです。


まずプライドについてですが、これはまだまとまっていないので保留としたいのですが、仕事にプライドをもつというのは果たしてどういうことなのだろうかという疑問です。これについてはまた後日。


で、後者の「高橋克典」と「永井大」の違いについてですが、例えばサラリーマン金太郎というマンガ原作のドラマがありましてこの主人公である金太郎を最初は高橋が演じていて、その跡を継ぐ形で永井が演じています。高橋が演じていた頃のドラマはよく見ていたのですが、原作さながらの金太郎をとてもよく再現していて楽しみに観ていたのですが、先日観た永井版は本当にひどくて見ているこちらが辱められているようなそんな耐え難い作品に仕上がっていたのです。
まあ、主役だけではなくて局もスタッフも違うわけですし、演じてきた年季もありますから一概に比べてしまうのはいかがなものかかという批判は真摯に受け止めますが、それにしてもあまりに両者の間には越えられない壁みたいなものが感じられて仕方がありませんでした。


イケメンでマッチョという共通項を持つ両名がなぜこうも格が違うかのように見えてしまうのか不思議でなりませんでしたが、この作品で両者が並び立ったのを観た時に何となく腑に落ちた感じがしました。役への入り込み方が違い過ぎるんです。高橋は役を演じるのではなく彼自身がその役になってしまうという表現がふさわしく感じられるほど入り込んでいて、「あー、高橋克典はすごいんだな」と思わずにはいられませんでした。この手のキャラクターの役は全部彼に任せるべきですね。


話が映画からすこしずれてしまいましたが、最初に書いたとおり映画はものすごくよくて、特にチェホンマンが出てきたあたりはその迫力もあってかなり興奮しました。下ネタが嫌いではない人すべてにおすすめです。


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