TOKYO!

ミシェル・ゴンドリーレオス・カラックスポン・ジュノという、N.Y.、パリ、ソウルで活躍する3人の鬼才による、東京を舞台にしたオムニバス映画。東京の“今”をファンタジックに映像化する。

『TOKYO!』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
東京を舞台に3人の監督がそれぞれの視点で物語を紡ぐオムニバス映画なのですが、普段観る映画とは趣向がまったく異なっていておもしろかったです。オムニバス映画を観るのは「世界はときどき美しい」以来でしたが(当時の感想はこちら)、短いからこそ加工のされていないむき出しの姿のメッセージが感じられました。というか、メッセージというほど明確なものではないのかも知れませんが、作品の温度、言い換えれば作り手が感じている東京のもつ温度や湿度なんだけど、それが直接伝わってくるような印象を受けました。


以下、各作品の感想です。

インテリア・デザイン


『TOKYO!<インテリア・デザイン>』――駆け出しの映画監督である恋人・アキラ(加瀬亮)と一緒に上京してきたヒロコ(藤谷文子)。だが、なかなか期待通りの引越し先が見つからない上に、アルバイトもアキラだけが合格、夢にあふれる彼を横目に、ヒロコはだんだんと自分の居場所がないことを感じ始める…。そしてある朝、ヒロコが目覚めると、彼女の体の一部が木になっていた!? 

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3作品の中では一番好きな作品。
一生懸命やっているけど他人からはそう見てはもらえないつらさ。こんなにたくさんの人はいるんだけれど、でもどうしてもその身近なひとに理解してもらいたいという気持ちはすごくわかるし、そしてとても切ないなーと思いながら見ちゃいました。
あまりにつらい現実から逃げたくて彼女はあるものに姿を変えていくのですが、その変化の過程やその後のストーリーがとてもユニークだし、映像もとてもキュートで眺めているだけで幸せになれました。主演の藤谷は初見だったのですが、演技も自然でよかったですし仕草や表情がかわいらしくて作品の世界観にものすごくマッチしてました。


前半はどちらかという笑える作品だっただけにその落差には驚かされましたが、観終わった後のホクホク感がミシェル・ゴンドリーらしいなと感じられる作品でした。これ、また観たいな。


[追記]
藤谷文子という名前に何となく聞き覚えがあったので調べてみたら、なんとスティーブン・セガールの娘だそうです。
たしかに日本人にしては濃い目な容姿ではありますが、ちょっと意外でした。この作品で彼女の魅力は十分感じられたので、今後の出演作には注目したいです。


メルド


『TOKYO!<メルド>』――大都市・東京で、突如マンホールから一人の謎の男が地上に出現。彼の名はメルド(ドゥニ・ラヴァン)。意味不明な言葉を発しながら、道行く人々に危害を加え始めた彼は、やがて手榴弾を渋谷の街に投げ込み、警察に拘束される。そしてこの謎の男の情報が世界中から寄せられる中、裁判が始まるのだが…。 

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わたしがこの作品を見ていたとき、果たしてどういう表情をしていたのか見てみたいと思うほど何とも言い難い作品でした。
地下道から突如として現れるメルドという存在はいったい何を意味しているのか。世界で3人しか話すことが出来ない言葉しか発することが出来ないメルドをとおして、何を描きたかったのか。今のところはその意図することろはよくわからないです。
メルドというたったひとりのエイリアンに振り回される大都市、日本の司法、そして世論。このあたりからつかめるものがある気がするのですが、とりあえず今のところはまったく理解できなかったということで。


全然話は変わりますが、最初に通訳をしていた子はとてもかわいかったです。


[追記]
Wikipediaによるとこの通訳の子はKaoRiさんという方らしいのですが、詳しい情報はそれ以上見つからず。気になる...。

シェイキング東京


『TOKYO!<シェイキング東京>』――東京のとある街で、10年間家を出ないまま、引きこもりの生活を続けている一人の男(香川照之)。ある日ピザを届けに来た美しい少女(蒼井優)と出会い、そんな彼の中の何かが揺れ始める。ところが、ピザ屋の店長によれば、彼女はもうバイトを辞めて永遠に家を出ないという。ついに家の外へと飛び出した彼は、彼女の住む街へと駆け出すのだが…。

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この映画を観る一番大きな動機付けはこの作品に興味があったためです。
もっと具体的に言うと香川と蒼井という、今の邦画で最も見たい2人の共演というただそれだけの理由なのですがもうものすごく興味を持ってしまいました。


10年も引きこもりを続けている香川がピザ屋のバイトの蒼井に恋をして彼女に会うために外に出ようとするっていう、書いてしまえばたったそれだけのお話なのですが、香川の異常なほどの几帳面さとそれに興味をもつ蒼井という構図や、蒼井の体に書かれたボタンを絡めたラストはとてもよかったです。
それとこの作品では蒼井のアップが何度かあったのですが、見れば見るほど本当にかわいいのかどうか自信がもてなくなる彼女のかわいさについて考え込んでしまいました。


あとひとつ。これはいつも書いてしまうことなのですが、竹中直人だけは勘弁してほしかったです。他の作品に比べたらだいぶお手柔らかにしていただいた印象はありますが、それでも何だか作品の世界観をはぎ取ってしまうようなあの演技はこの作品では見たくなかったです。

公式サイトはこちら