ハンサム★スーツ


大木琢郎(塚地武雅)33歳独身、彼女いない歴33年。イタリアに留学経験もある一流シェフだが、亡き母親の後を継いでいまは定食屋「こころ屋」を営んでいる。ブサイクでメタボリックな体型が災いしてか、優しくて料理も上手いのに、先日も美人アルバイトにフラれてしまった…。ところがある日、紳士服店に入った琢郎は、一際ハンサムな店長から彼にぴったりのスーツを勧められる。半信半疑ながらも袖を通してみると、なんとスーツが体にぴったりとフィットし、琢郎はハンサム=光山杏仁(谷原章介)に変身するのだった! 谷原章介塚地武雅のダブル主演、鈴木おさむのオリジナル脚本で贈るラブ・コメディ。

『ハンサム★スーツ』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。
予告ですべてが分かる系の作品だと思っていたし、実際に観てもそのとおりだったのですが、それでもこの作品は一見に値する作品でした。ストーリー自体に大きな驚きはないし、それこそ最初の10分くらい観れば結末までの流れが何となく読めてしまうほど分かりやすい展開なのですが、個々のシーンの見せ方がとても面白いし、出てくる人たち全員がとても魅力あふれる役柄を演じていて眺めているだけで楽しくなってきました。特に谷原さんはコメディを演じるシーンが多かったのですが、ブサイクが一時的にハンサムになっているという表現を違和感なく表現していてとてもよかったです。


この作品を観終わって、わたしは幼い頃の自分にこの作品を見せたいと思いました。太っていたせいで外見にコンプレックスがあったあの頃の自分にこの作品を見せてもっと前向きに生きていいんだと教えたいのです。きっとこの作品を観ればそうなれる気がする作品だと感じました。


この作品では終始徹底してブサイクが周囲の人に虐げられている立場にあることが強調されています。ブサイクというだけで日常的にひどい扱いを受けている様子をこれでもかというほど繰り返し繰り返し見せてくれます。例えば、偶然そばに居合わせただけの人から悪意の言葉を投げつけられたり、見た目だけで痴漢扱いされてしまったり。たぶん世間一般的な視点で見れば、こんなひどい扱いなんてしてねーよwwwという意見が多いんじゃないかと思うのですが、一方で実際に差別を受けた側からしてみたらこういう扱いを受けているという気持ちには違いないと思うのです。いじめもそうですが、加害者が自分のしたことに対する認識と、被害者の認識ってどうしてもずれてくるし、それと同じ構造が出来上がっていてブサイクというだけで差別されていることを作り手の方々はしっかりと理解させたかったのではないかなと。そのくらい強烈にブサイクが差別されている様子が描かれていて、正直にいうと途中まではあまりにひどくて不愉快に感じるほどでした。
ところが後半になって、相手を外見で判断しているのは果たしてそういう差別をぶつけてくる加害者だけなのか?という部分が見えてきたときの面白さというか、作品の見え方が変わる瞬間がとても印象的でなるほどなーと感心してしまいました。


ブサイクでもいいとか悪いとかではなく、価値基準にそんなものを持つ必要はないし、持つことで見えなくなるものがあるんだというメッセージがとてもいいなと感じました。


それとこれはもう言うまでもないことなんだろうけど、北川景子がとても適役でよかったです。今まで出た作品の中では一番似合ってたんじゃないかなと思います。彼女のファンなら間違いなく観るべき作品だと断言出来ます。


[追記]
いい写真を見つけたので追加します。チョーかわいい。


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