闇の子供たち


“人はお金では買えない”と言いつつも、現実では人間の傲慢さと欲望のにより、幼児売買や臓器密売など、罪のない幼い子供たちが安易に金銭取引されている。そんな中、タイ在住の新聞記者・南部(江口洋介)は、NGO職員・音羽宮崎あおい)とフリーカメラマン・与田(妻夫木聡)の協力を得て、この現実を取材することに…。だが、横行するタイの“闇”。そして、事実を暴き、傷つけられている“闇の子供たち”を救おうとすればするほど、残酷な現実が彼らの前に立ちはだかるのだった――。主題歌を桑田佳祐が担当。梁石日の同名長編小説の映画化作品。

『闇の子供たち』作品情報 | cinemacafe.net

シネマライズにて。
発展途上国における幼児売春や臓器売買といった闇の部分をクローズアップした小説を原作とした作品。とても興味が持てるテーマであり、また、とても重いテーマであるだけに、果たして自分がどのように受け止めるのか非常に興味があったのですが、事前準備がとても功を奏したおかげで自分なりにしっかりと消化することが出来ました。
フィクション/ノンフィクションの件で議論もあるようですが、私はもちろんフィクションであると思っていますし、ある程度論点というか議論を抽象的にした上で現状の悲惨さをセンセーショナルに伝える作品であると受け止めています。もちろん、日本人が悪いことをしているという印象を恣意的に与えているという指摘もすごく分かりますが、でもこの作品に興味を持つような人であれば事実をそのまま描いているのではなくてあくまでフィクションであるというのは理解出来ると思いますので心配するほどではないと思います。それに小説の映像化なので基本的に原作ありきですので、作品のもつベクトルは小説に忠実であるべきですし、まあこれでよかったんじゃないかと*1


ただ、やはり衝撃を受けたことは事実ですし、何かしら自分なりの反応はしたいなと考えています。この作品を観た上で自分はどのようなリアクションをすべきなのか、それをこれから少しずつ考えていこうと思います。



上でも書きましたが、この作品を観ようと思ったときにどうしても現状というか、現実がどうなのかという予備知識や作品についての情報が欲しくなりました。
普段は作品を観たときの印象を大事にしたいので、観る前にストーリーや作品の概要を調べることなどほとんどないのですが、今回はさまざまなニュースサイトや公式サイトを回って具体的にどのようなことを描いている作品なのかをしっかりと確認しました。さらに事実としてどのような状況なのかということもネットで調べられる限りですが調べてみました。さらに監督や出演者のインタビューを探して読み漁りました。特に理由はありませんが、何となく面白そうだから...というだけで観てはいけない作品だという気がしたためです。


最終的にどうしても観てみたいという気持ちを強く後押ししてくれたのはこのインタビューでした。

Q:最後にこの映画を通して伝えたいメッセージを聞かせてください。


監督: 伝えたいことを言葉で言ってしまうと映画の存在理由がなくなるんですが、僕自身がこの仕事を受けてからいろいろ資料を調べて、自分が知らなかった事実にたじろいだんですね。まずは皆さんにこの映画を通じて今まで知らなかったこと、あるいは知ったかぶりをしていたことを知ってもらいたいですね。この映画を観て、皆さんにたじろいでほしいと思います。多分映画館を出た後、何げなく見ていた日本の風景とか、少年少女たちとか、子どもたちがまた違って見えると思うんで、まずそこから始めてもらいたいなぁ……という思いですね。


宮崎: わたしもこの作品にかかわる前からなんとなくこういうことに関心があって、本を読んではいたのですが、いろいろなことを知っていくと、だんだん知るだけではダメなんだという風に思ってきて……。いろいろな国に行かせてもらったり、いろいろな人たちとの出会ったりする中で、「あぁここではこういうことが起きているんだ。あっちでもこういうことが起きているんだ」ということを少しずつですが知識として知っていて……。知ってしまうと何もしないという選択肢がまずなくなってしまうと思うんですね。そのきっかけがこの映画になってくれればいいと思います。観終わった後はやはり重いテーマだし、心がとても重くなると思うんですが、逃げないで知ってほしいと思いますね。

『闇の子供たち』阪本順治監督&宮崎あおい 単独インタビュー - インタビュー - Yahoo!映画


こういった強い想いをこめて作られた作品だということですので、これは観ないと!!という気持ちになりましたし、実際に観て感じたのは言葉ではなく映像を通して伝えることの大事さでした。言葉だけでは伝えきれない現実の悲惨さを改めて認識したという点では、先日見てとても衝撃を受けた「休暇」に通じるものを感じました。
観ることが出来て本当によかったです。


公式サイトはこちら


*1:変えたら変えたで原作無視の改悪だなんて言われそうです