![アモーレス・ペロス [DVD] アモーレス・ペロス [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51Cu1M2%2BGkL._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: パラマウント ジャパン
- 発売日: 2005/01/05
- メディア: DVD
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メキシコシティ。ダウンタウンに住む青年・オクタビオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、強盗を重ねては放蕩を続けている兄の妻・スサナ(バネッサ・バウチェ)を密かに恋していた。夫の仕打ちに苦しむスサナもオクタビオには悩みを打ち明けるのだった…。スペインからやってきたモデル、バレリア(ゴヤ・トレド)。仕事も成功し、不倫相手のダニエル(アルバロ・ゲレロ)も妻と別居し、2人はマンションでの新たな生活を始めるのだったが…。初老の殺し屋、エル・チーボ(エミリオ・エチェバリア)のもとに新たな仕事の依頼が舞い込む。エル・チーボは殺す相手の行動を観察する一方、昔捨てた自分の娘の後を追い、こっそり家に忍び込む…。
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/15456/
会社からの帰り道。不意にガエル・ガルシアが見たくなったので借りてみました。
一つの事象を複数の視点から切り出すという手法は先日見たバンテージポイントと似ているようにも感じられました。ただ、バンテージポイントは主となる事件がひとつの軸として存在したのに対して、この作品は複数のストーリーが単に空間を共有してザッピングしているだけという点で大きく異なりました。
分かりやすさという点においてはバンテージポイントの方がシンプルでよかったのですが、ストーリーや構成、登場人物の魅力は断然こちらがよかったです。
この作品のタイトルはスペイン語で直訳すると「犬のような愛」だそうです。意訳するともう少しいろんな含みが出てくるらしいのですが、犬がたくさん出てくるこの作品には直訳の方が馴染むような気がします。
タイトルを聞いて思い出されるのは、エル・チーボが事故現場から拾ってきた怪我をした犬に、飼っていた犬すべてをかみ殺されてしまうシーンです。
このくだりはいろいろな解釈が出来そうだと感じましたが、私は、その拾われた犬が怪我をしたときに介抱してくれたその恩返しに、自分に出来る精一杯のこととして周囲の犬をすべて殺したのだろうと理解しました。
闘犬として他の犬たちを蹂躙して勝ち続けることで自らの場所を見つけて生きていたその犬にとって、飼い主含め、人間を喜ばせるためには他の犬を殺すことしか知らなかったのだろうなとやりきれない気分になりました。
結局、この犬に限らずこの作品に出てくる人たちすべて、好意を寄せる相手にうまく愛情/感謝を伝えることが出来ないのです。それは彼/彼女らがとった愛情表現は、犬と同じような不器用で相手にとっては迷惑な愛情表現でしかなかったからなのです。
すごく切ないしやるせないんだけれど、でも最初から最後までまったく目の離せない魅力あふれる作品でした。犬好き以外はおすすめ。
それにしてもやっぱりガエル・ガルシアはかっこいいな。