MISSING

昨年読んだ本の中でもとりわけ面白かったのが、MOMENTという本です。

MOMENT (集英社文庫)

MOMENT (集英社文庫)

病院で密かにうわさになっている「死ぬ前に一つだけ願いをかなえてくれる仕事人」の存在。なぜかその仕事人に勘違いされたアルバイト中の学生が主人公でして、彼がさまざまな入院患者の願いをかなえていくという物語なのですが、これが本当に面白かったのです。
ガラス一枚を隔てたその目前でストーリーが進んでいるような、そんな透明感が感じられる作品でして、昨年の夏に読んだ時はあまりの面白さに何度も何度も繰り返し読みました。


さて。そんな面白かったMOMENTの著者である本多さんの他の作品を読んでみようと思い立ち、MISSINGを手にとって見ました。

MISSING (双葉文庫)

MISSING (双葉文庫)

MISSINGはMOMENTとは異なり、まったく相関の無い話の寄せ集めというか短編集なのですが、これがまた面白い。
各短編に出てくる登場人物がとても魅力的で短編で終わってしまうのがもったいないと感じてしまうくらいですし、そして短いなりにとてもよくまとまっていて
何よりどの短編もすべてMOMENT同様に透明感があって夏っぽいのです。夏の夜に田んぼの脇のあぜ道を歩いている時のような、そんなすがすがしい気分になります。


この本は今すぐ読むのではなくて、夏真っ只中の、出来れば帰省時期あたりに読むのがお奨めです。
私は夏休みの電車の中でどちらも読み直すつもりです。