ラッシュライフ

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

伊坂作品の醍醐味といえば途中までバラバラだった点が最後には全部きれいにつながるその構成の素晴らしさだと思いますが、この作品もその例に漏れず、というよりも過去のどの作品よりもそんな面白さが詰まった作品でした。
同じ事象をさまざまな視点から見ることで構図がとても立体的に感じられるし、立体的になることで、まったく別の場所で起こっていて無関係だとしか思えなかったことが少しずつ絡み合い、全体像が見えてくる。そんな盛り上がりを見せる後半はとにかく面白くて読み進める手を止められませんでした。


何だか伊坂作品の感想はいつも同じようになってしまうのですが、それは私の筆力がないのもありますが、伊坂作品の面白さの軸がぶれないおかげでもあると思います。