- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/15
- メディア: 文庫
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人が人を信用/信頼しようと判断する基準ってなんだろう?と考えたことがあります。
例えばやさしく接したり、いつもいい顔をしているだけで相手から信用されるのかと言えば決してそんな事はなくて、ただそれだけだと「相手に迎合するつまんない人」と思われるのが関の山です。
その時も今も答えらしい答えは見つかっていませんが、今の自分が信頼してもらうために心がけている事といえば「自分を見せる」ことです。もちろんありのままの自分を見せると89%はドン引きですし、そんなのが見たい人なんているわけがないので見せるべきところを選んではいますが、「自分をオープンにしていく」というのはここ1年くらいの私のテーマでもあります。
そういう意味ではこのブログも自分を知ってもらう機会になるように...という気持ちで書いています。と、ちょっと余談。
さて、本書の中心人物である陣内はいつも自分勝手でやりたい放題。だけど、彼はいろいろな人から信頼され、挙句の果てには読者である私からも信頼出来そうな人と思われています。そう思わせるひとつの理由としては、彼の発言には裏表がないように感じられるし、いい部分だけではなくて悪い部分も含めて全部見せてくれそうなオープンさに惹かれているように感じます。
そんな魅力あふれる陣内を、時間/場所/見る人というふうに異なる切り口から描写することで彼の魅力が多面的にそして立体的に感じられました。
それにしても伊坂さんの本を読むといつも感心(というよりも感動に近いのですが)してしまうのですが、バラバラに見えた点と点がつながっていく快感をこれほどうまく伝えてくれる作家を私は知りません。この構成力、そして人物の描き方にメロメロです。