砂時計


14歳の水瀬杏(夏帆)は、両親の離婚により、東京から母・美和子(戸田菜穂)の実家である島根県にやって来た。田舎独特の雰囲気や祖母(藤村志保)に馴染めずにいた杏は、近所に住む同い年の大悟(池松壮亮)や藤(塚田健太)、椎香(岡本杏理)と出会い、徐々に自分の居場所を見つけていく。そんな中、母が自殺…。悲しみの中にいた杏を大悟は「俺が、ずっと一緒におっちゃるけん」と力強く抱きしめる…。あれから12年が経ち、26歳になった杏(松下奈緒)は、婚約者の佐倉と東京で暮らしていた。そして、同窓会に出席するため、数年ぶりにあの懐かしい街を訪れる――。

『砂時計』作品情報 | cinemacafe.net

小山シネマロブレ5にて。
張り切って小山までこの作品を観に行ったわけですが、正直に言うとそこまで観たいと思っていたわけでもありません。そもそも原作が少女漫画というのは実は苦手な分野なのですが、それでも予告を観たら気になる作品のオーラが感じられたので思わず観に行ってしまいました。


で、まずはストーリーだけれどもやはりというか作品の世界観に馴染めませんでした。山間部の村独特の閉鎖的な空気はすごくよかったんだけど、その一方で、くっついたり離れたりを繰り返すいかにも少女漫画的な展開*1はやはり好きにはなれませんでした。


そんな中、すごくぐっと来たのがおばあちゃんの存在。わたしはこのおばあちゃんの存在だけでこの作品を良作と認定したいくらいすごくよかったです。
おばあちゃんは離婚して帰ってきた美和子に対して「しっかりせい」と叱咤するのですが、そのあとすぐに美和子は自殺してしまうのです。しっかりしろと言わずにはいられなかったおばあちゃんの気持ちもすごくよく分かるし、そう言ってしまった事で美和子を追い詰めてしまったのではないかと悔やむ気持ちもすごく分かります。
おばあちゃんがこの時に抱え込んでしまった強い後悔の想いが、10年後に起きたある事件の時に再度よみがえるのですが、そのシーンは本当に観ていて胸が熱くなりました。おばあちゃん...。


それともう一つ。この作品ですごいいいなと思ったのは主役の杏を演じた夏帆の映し方がすごく艶かしいのです。
すごくエロイ!!というわけではないのですが、なんとなく雰囲気/佇まいが色っぽいなと感じました。10代の時にちょっと年上の女性に感じたような色香というか、そばにいるだけでくすぐられるようなドキドキさせられる雰囲気がこの作品にはありました。
予期せぬタイミングで母親を失ったことで自立することを余儀なくされた杏は同年代の子たちよりも少し早く成長したという、そんな背景を何となく感じ取ってしまいました。


個人的には夕日をバックにしているシーンの彼女の挙動とシルエットはとてもよかったです(↑の写真もその一つです)。


今までそういった性的な部分を見せない役柄が多かった夏帆さんですが、今作での変身ぶりはとても新鮮でした。本人のよさもたぶんにありますが、何よりも撮り方がすごくよかったです。


公式サイトはこちら

*1:これを少女漫画的というのは偏見ですかそうですか