マイ・ブルーベリー・ナイツ


ニューヨーク州コニー・アイランド。40年以上前からある、何の変哲も無いデリでジェレミージュード・ロウ)は働いている。最近、ある女性(ノラ・ジョーンズ)が毎日必ずブルーベリーパイを買いに来る。彼は密かにその女性を“ブルーベリー”と名づけ、彼女のためにパイを残しておく。ある日、ひょんなことから、お互い少しだけ過去を明かしあう。そして、ジェレミーは彼女が要らなくなった鍵を預かることになる。彼女は店に来なくなり、ある時、メンフィスから手紙が届く。「あなたのブルーベリーパイが世界中で最高!」。ジェレミーはブルーベリーの居所を探し始める…。

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
簡単には立ち直れないくらいの失恋をした一人の女性が、アメリカ中を働きながら旅をして周り、さまざまな人たちと出会い、心の傷を癒していく物語。この作品の80%はノラ・ジョーンズのキュートさで出来ていると言っても過言ではないくらい彼女の魅力に溢れた作品なのですが、特にブルーベリーパイを薦められるがままに食べてそのままカウンターに突っ伏して寝てしまうその姿には、ジェレミーでなくともドキドキしてしまいました。俺もお店持とうかな。


この作品の主人公のように、立ち直るまでにかなりの時間を要する失恋というのは誰しもが経験する事じゃないかと思いますが、その状態からどう立ち直るのかという点については人それぞれかなり違いがあります。


例えば私の友達の例を紹介します*1
私が大学生の時。バイト先の友達が同じバイト先にいる人を好きになってしまいました。結構大変なバイトで私はいつも行くのが面倒で嫌だったのですが、彼はバイトに行くのが楽しみでしょうがないから毎日でもバイト入れますみたいなよく分からない状態になってしまいました。
ある日の夕方。その友達と一緒に本を買いに行こうと八文字屋という山形市内では一番頼りになる本屋に行くことにしました。大学から歩いて20分くらいだったのでくだらない話をしながら歩いていると、向こう側から友達の好きな人が歩いてきたのです。


...男連れで。


その様子を見ただけですっかり凹んでしまった友達を尻目に、私は普通に挨拶をしたのですが、聞くと今度結婚をするので両親に挨拶しに行ってきたところだとか。
「いや〜、それはおめでとうございます」と言ってる俺の横で、追い討ちをかけられて完全に灰のようになる友達。もうあまりにあからさま過ぎて気の毒でしょうがなかったのですが、そこは見なかったことにして何とかその場をやり過ごしました。


ショックを受けた友達は本屋になんて行く気になれないと駄々をこねだしたので、やむを得ずその足で酒をあおりに行く事にしました。こころ優しい私は彼の心を癒すべくその日の飲み代はおごったのですが、もちろんその程度では彼の心は癒されずしばらくバイトや学校を休んで引きこもったのちに立ち直る事が出来ました。
彼にとっての失恋から立ち直る一番の手段は、誰にも会わずに一人で過ごす時間を持つことだったようです。


そんな立ち直り方をする人が居る一方で、この作品のように誰も自分の事を知らない場所に旅立つ人も居るようですし、新しい恋をすればいいよという人もいます。
同じような辛い経験をしているのにそこから立ち直る手段が違うのは何でだろう?と未だに不思議でなりません。人それぞれと言ってしまえばそれまでですが、それぞれだからこそ、他の人がどのようなプロセスを経て心を再生させているのかというのは非常に興味深いテーマだと思います。
その点、今作でノラが取った「NYを離れて昼夜を問わず働いて辛い事を忘れようとする」方法はなかなか個性的面白かったです。


館内に張ってあったポスターが何となく気になったので観に行ったのですが、予想以上に当たりで大満足でした。


公式サイトはこちら


[追記]
この作品はノラ・ジョーンズ主演という事で作中で流れる楽曲も非常にいい曲ばかり、グッとくる曲ばかりでした。
これはサントラ欲しいなあ。

マイ・ブルーベリー・ナイツ オリジナル・サウンドトラック

マイ・ブルーベリー・ナイツ オリジナル・サウンドトラック

*1:私自身の体験を書くべきなのでしょうが、嫁も読んでいる事を考えると恥ずかしくて絶対に書けません