パンズ・ラビリンス


1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランス軍ビダル大尉の駐屯地だった。体調の思わしくない母を労りながらも、冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた彼女の前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。

パンズ・ラビリンス|映画情報のぴあ映画生活

宇都宮テアトルにて。
面白いなあと思う映画にはたまに出会いますが、こういう両頬を交互にグーで殴られるようなガツンとくる映画は初めてでした。すごくよかったです。


内戦という恐ろしい現実と、森の中にある迷宮を舞台にしたファンタジーが同時進行で進んでいく本作。
母親の身を案じ、そしてある事実が発覚しないかどうか不安に感じながら生活を続ける一方、他方ではパンから課せられた試練をこなすオフェリア。この二つが最初は独立しつつ、最後には融合していく展開はなかなか予想がつかず最後まで目が離せませんでした。


作中で一番好きだったのは2つ目の試練。黄金の鍵を携えて、ラビリンスへと続く入り口をチョークで書いてそこから潜り込むというもうその設定だけで興奮してしまいますが、さらに砂時計の砂が全部下に落ちてしまうと入り口は閉じてしまうのです。その他にも制限事項があったり、その制限事項のせいで大変な事になったりとかなりアドベンチャーな展開が訪れます。
他のシーンも印象に残っていますが、ここのインパクトの強さは圧倒的です。ここだけでももう一度みたいくらいです。


そうそう。
この作品はPG12となっていますが、かなり痛いシーンが多いです。気付けば流血シーンというくらいいつも血が出ています。そんな流血何ていうあっさりした描写だけでは飽き足らず、発砲した農民親子を捕まえて瓶で殴打して殺してしまったり(しかも実は親子は共に無罪)、捕まったゲリラ兵の拷問後に兵士の手が裂けているシーンとか直視出来ないにも程があるんじゃないかと文句をいいたくなるくらい厳しいシーンが続きます。


またこのようなシーンにはほぼビダル大尉が絡んでいるのですが、彼のあまりに徹底したサディスティックな行動を見ているだけで身震いがしてきます。


暴力的なシーンが苦手と言う人も多いかと思いますが、そこを差し引いてもかなり見応えのある作品でした。私はこういうシーンが非常に苦手ですが、そういう時はちょっと目をそらしてやり過ごしましたし、そんな些細なことは気にならないくらい次の展開が気になって見ずにはいられませんでした。


時間があればもう一度見に行きたい作品です。


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