包帯クラブ


大切なものが少しずつ失われていく毎日に、嫌気がさしている女子高校生のワラ(石原さとみ)は、ある日、病院の屋上のフェンスを乗り越えようとする。そのとき、奇妙な関西弁を話す入院患者の少年ディノ(柳楽優弥)が、突然ワラの前に現われる。手首に傷を負ったワラの心の傷を見抜いたディノは、ワラの手首からほどけ落ちた包帯をフェンスに結び付け……。

包帯クラブ (2007) - シネマトゥデイ

宇都宮ヒカリ座にて。


予告編を見た限りではそれほど期待していなかったのですが非常に面白いというか楽しめる作品でした。


多感な頃に抱えがちな漠然とした不安や不満。そんなぶつけ場所のない気持ちを持つ者同士が集まり、他人の痛みを癒すために包帯を巻いていくという言葉にすると偽善っぽいお話なのですが、実際に見てみると全然そんな風には感じない作品でした。他者を癒す事を目的としながらも、実は一番癒されたり成長の糧としてなってるのはやってる当人達だというのが巧く表現されていたためだと思います。


「包帯一本で世界が変わればめっけもんや」という言葉は、CMや予告で見た時は青臭くて好きになれなかったのですが、一連のストーリーの中で出てくるととても魅力ある言葉に感じられます。
不安や不満を抱えてても、何をしたらそれを解消出来るのか分からない。そんな時に見つけた自分に出来る何かが包帯を巻くことであり、その行為を通して世界が変わっていくような気持ちになるきっかけになる言葉です。


そして。
実際に変わっていくのは世界ではなく自分自身であるということにディノやワラが気付いていく中盤から終盤にかけてがとても好きです。


一点どうしても嫌だったのは音楽かな。
不意に差し込まれる音楽がシーンに全然あってなかったり、さらに突然プツッと途切れたり(意図的でしょうが)と悪い意味で気になりました。あれだったら音楽が全くない方がすっきりしてていいとさえ感じました。無理やり過ぎます。
# これを差し引いても面白かったのですが、映像の良さに比してあまりに音楽が酷かったのであえて書き残しておきます



こんな感じでとてもいい作品でしたし、公開前からあちこちで宣伝もしているようなのですが、意外にも見に来ている人が少なくて驚きました。たしかにCMとかよくなかったのかも知れんね。
公開初日のレイトショー(入場料が1000円と安い)なのに私を含めて二人となかなかの空きっぷりでした。私としてはノビノビと見れて非常に嬉しかったのですが、反面、こんな面白い作品が多くの人の目に触れずに終わってしまう事がとても残念でなりません。


これを読んで興味をもった方がいれば、ぜひ映画館で鑑賞してみてください。


そうそう。
この作品。エンドロールの後にも少しだけ続きます。最後まで席を立たないことをお奨めします。


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