差がつく読書

差がつく読書 (角川oneテーマ21)

差がつく読書 (角川oneテーマ21)


ご存知の方も多いと思いますが、映画は上映前に予告編が流れます。この予告編がなかなかの曲者でして、これから公開される映画のいいとこどりの映像を流してくれるおかげで見るつもりの無かった作品でも興味が出てきてしまうのです。
おかげで、見たい作品は増える一方で鑑賞に費やせる時間はなかなか増えませんので、興味があるのに見れない作品が増えてしまうのです。これは悲しい事です。


同様に、読書も一冊読むと同じ著者の本が読みたくなったり同じテーマの書籍を読みたくなったりと、読めば読むほど読みたい作品が増えていきます。
# Amazonからのお奨めも最近は私の好みをうまく把握してくれるようになってきて、予告編並みに強敵になってきました。


映画は時間が固定なのでどうしようもありませんが、読書については効率化が出来るのではないかと思ってこの本を手にしたわけです。


本書は速読に関する方法論や、多読の勧め、精読する本の精査の仕方などについて様々な手法を提示してくれます。特に速読に関する方法(ななめ読みや飛ばし読み)は非常に参考になりました。簡単にでもいいので、書籍の全容を把握したいのであればとても参考になりそうです。


また、著者の読書観も独特です。例えば

読書は悪徳だと私も思う。好奇心をかきたて、現在に満足せずにもっと違う世界を求めさせるのは、悪徳意外の何ものでもない。

なんてのは読書が好きな人の発言としては珍しい類の発言ではないでしょうか。子どもの頃から「読書している」==「勉強している」みたいなイメージをもっていただけに、意外な発想でした。読書を重ねに重ねてきたからこその発想でしょうか。


読書のうまいやり方という視点ではなく、どういった結果を期待して読書をするのか(知識を得たいのか、興奮したいのか)によって最適な読書の仕方は違うのだというのは目から鱗とかいろんなものが落ちそうなくらい、なるほどと納得させられました。愚直に一字一句を追いかけるのではなく、著者が書きたかった内容を汲み取るように文章をスキャンすることが大事だということのようです。


実用書が読み慣れない人は、まずこの本で読書の仕方を勉強してから本を読むことをお奨めします。