リクルートのDNA

リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)

リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)

何となく手にとった本ですが、とても不思議な本でした。本書の内容は、江副社長が創設し、作りあげたリクルートという会社の成長記録というか単なる自慢話に終始するのですがその自慢話の中にご自身の自慢がほとんど無いのです。その代わりにリクルートがどのくらい素晴らしい人材に支えられ、輩出しながら成長を遂げてきた会社なのかといったことをツラツラと書き連ねられています。まさに会社自慢なのです。


結局めぐりめぐってご自身の自慢となっているのかも知れませんが、読んでいてそう感じる部分はありませんでした。この本からは自己顕示欲が感じられないんですよね、全然。そこがとても不思議な感じを受けました。


そういえば、本書の著者である江副元社長の名前を聞くと幼い頃にニュースで聞いたリクルート事件を真っ先に思い出します。事件の概要などは全く分からないながらも、でも余程悪い事をしたのだろう、今まで悪事を積み重ねてきたのだろうと勝手に思っていました。でもそれっておかしな話ですよね。
よく経営者が不正で逮捕されたとすると、その人がしてきた事全てが悪い事だったのではないかと思ってしまうことがありました。でもそれが正しくないという事は本書を読めばよく分かります。彼が作りあげたリクルートという会社は、これだけの素晴らしい人材・サービスを生み出し、今尚成長を続けているという事は、それだけの組織づくりをしっかりと行ってきたという証拠だと思うのです。


江副さん自身についてはほとんど何も書かれていないのに、読み終わった後は江副さんの印象がよくなるという不思議な本です。起業に興味がある人は目を通して損はないのでは。