しゃべれども しゃべれども


2つ目の落語家、今昔三つ葉国分太一)。古典落語にこだわるが師匠の真似ばかりで思うように腕は上がらず真打ちには程遠い。そんな悩める彼のもとにひょんなきっかけから「落語を、話し方を習いたい」と無愛想で口下手な美人・十河五月(香里奈)、勝気な関西弁の少年・村林優(森永悠希)、毒舌の元プロ野球選手・湯河原太一(松重豊)の3人が集まってくる。ところが、彼らは集まるごとに言い争い、なかなか落語も覚えない。そんな彼らをまとめなくてはならない三つ葉にも“恋”と“仕事”の迷いがあって…。1997年「本の雑誌」ベスト10・第1位に輝いた小説を『愛を乞うひと』の平山幸秀監督が映画化。 TOKIO国分太一の初の単独主演映画。

『しゃべれども しゃべれども』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ニュー東宝にて。


初夏っぽい涼しげな風景がとても心地よくて気持ちいい作品でした。ほおずき市や船上から景色なんてまさにこれから訪れるであろう初夏を見ているようです。それで初夏なので暑いはずなのですが、見ていると暑さを感じないと言うか逆に涼しささえ感じてしまうのです。ただ見ているだけで暑さを忘れられようなそんな風景が目白押しなんですよね。


東京下町の風景っていいなと思います。


それとストーリーは特に目新しい話っぽくはありませんでしたが(落語家についての話は珍しいと思うのですが)構成がいいのか、かなり見入ってしまいました。国分君演じる三つ葉は、話しても話しても誰からも笑ってもらえないさえない落語家。そんな彼が、自らを「話すプロ」と慕って集まる人たちと触れ合って噺家としてでは無く一人の人間として成長する様子がとてもエキサイティングで、見終わってからとてもすっきりとした気分になりました。この作品すごくいいです。大好き。


人とうまく話せなくてフラレタという五月は、とにかく話せるようになりたくて話し方教室へ通う事を決意したわけですが、そこがまずは大事だと私は思うわけです。今の自分が嫌で何かを変えたいと思うことは誰しも経験があると思います。そう思った時に、実際に何か改善するために行動を起こせる人と起こせない人では圧倒的に前者の人の方が成長出来るんですよね。これ、経験則だから間違いありません。たとえそれが全然ダメな結果に終わったり三日坊主に終わったとしても、それでも何とかしたいと思ったというその気持ちがとても大事なのです。今は全然ダメな人でも、そうやって行動に移して得た事が身になって成長していけるんですよね。まずは変わりたいと願う事、そして次に行動に移せるようになる事は忘れてはいけないと思います。
# 喉元過ぎれば人間なので自戒を込めて...w


とは言え、上手く話せるようになりたいと思ったからといって落語を覚えたいとは考えないですよね(笑)
その発想も結構面白くて好きです。


それにしても「しゃべれどもしゃべれども」に続く言葉は何なんでしょうね。「誰が」という部分がはっきりしないと何とも言えませんが、出演者の全員がこれに続く一言を持っているような気がしています。それだけ出演者それぞれの背景がちゃんと描かれていたし、その誰もが好演されていたと思います。


公開から一ヶ月近く経ちますが、私の近辺では公開当初から上映してた箱は上映が終わってしまいました。なかなか見る機会に恵まれず危うく見逃すところでしたが、見れて良かったです。

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